SOUL EATER book4
□知恵の輪
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「なに、これ」
「知恵の輪という物らしい」
間髪入れずに返ってきた解答にほぉーと相槌を打つと、キッドがこちらへ金属の塊を渡してきた。
「キャストパズルという種類らしいんだが、この種類の知恵の輪を解くのは始めてで中々な。やってみるか?」
「いやいい」
どうせ解けないだろうから、と渡された金属を苦い顔で笑って、キッドの隣りに座る。
静かな図書室にガタガタとうるさい音が響く。
辺りを見回すが私以外にはキッドしかいないのでうるさくしても迷惑はかからないだろう。
「楽しいのか?」
「楽しくなければやるわけがないだろう」
「そんなもんかー」
知恵の輪って輪っかが連なってるものしか見たことなかったよ。
頬杖をつきながらキッドの指先を見つめる。
白くて細いが、私とパティとは違うごつごつした手。
キッドの手も綺麗だけどソウルの手はもっと綺麗だよなー。
「ぬぅ」
「解けないのか?」
「ああ、難しい。…手助けは不要だぞ」
「できねぇよそんなん、私みたいなバカにはな」
キッドの手が止まる。
何か閃きでもしたか、とキッドの顔を見るとその目は真っ直ぐと私を見ていた。
「リズはバカなのか?」
「……ブラック☆スターには負けるけどな」
あのバカさ加減にはさすがについていけん、パティも同じくらいだけど。
と付け足すとキッドはまん丸な目をさらに丸くした。
「ブラック☆スター程バカのでないのなら、リズはバカではなかろう」
「……」
お前の中のブラック☆スターの立ち位置かわいそすぎるだろ。
ははは、どうかなぁ、なんて乾いた笑いを浮かべながら、頬杖を外して椅子に深く座り込んだ。
「そんなレベルでバカを名乗るとブラック☆スターに失礼だぞ、逆にな」
「逆にね、逆に」
自分のことは棚に上げブラック☆スターのバカ話を思いだし、笑っているとキッドもつられて「ふふ」と小さく笑った。
知恵の輪