SOUL EATER book4

□いつまでも、どこまでも
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手をつないでやるとマカは喜ぶ。笑顔をこちらに向ける。魂が浄化されそうな笑顔。
俺はその笑顔にほんわか和まされて、よく手をつないでやる。

楽しいね、なんて笑うマカの左手には俺、右手にはアイス。
それはよかったなと返しながらマカの家へと向かう。

マカの家へ向かう時はいつもマカの足取りが重い。
いつだったかぽろりと口を滑らせた話によると、どうやら俺と離れるのが怖いらしい。明日は会えないんじゃないかって。
会えるに決まってんだろ。そう言ってやったがマカは睨むだけで何も答えてはくれなかった。

その話を聞いた日から、マカを家へ送る時は必ずアイスか何かを買ってやっている。
大人っぽいと感じることが多々あったがやはりマカは子供。簡単に引っかかって、あとちょっとでお別れだと言うのにニコニコ笑ってやがる。
単純な奴め。子供ってかわいいんだな。


「ねぇブラック☆スタ、明日も会える?」

「あ〜明日は遅くまで仕事だな」

「あんたの家で待っててもいい?」

「ダメに決まってんだろ。良い子は家で寝てろ」

「いい子じゃないから家行ってもいい?」


ねだるように目を潤ませて、かわいい声で「おねがい」、だって。
ダメなもんはダメだと声を低くして言うとマカは口を尖らせた。


「いいよ、明後日行くから」

「今度会えるのは日曜だな」

「…一週間後じゃん」

「小学生みたいに暇じゃないんだよ」


仕方ねえだろ、俺だって暇があればなぁ、


…暇があれば?暇があればなんだ?"暇があれば会いたい"?なんで?
マカには俺に会う必要があっても俺にはマカに会う必要なんかねーだろ。
付き合ってるっつったって小学生と本気で付き合ってる訳でもないし。

ちくりと胸が痛む。俺はそうじゃなくてもマカは本気なんだよなぁと。


「また会えるんなら、我慢も仕方ないかなぁ」


ざしゅ、マカが地面を蹴る。
拗ねてるようだ。かわいい、なんて思った瞬間足を止める。
止まった俺に気づかず先を歩いたマカがつないだ手に引っ張られ足を止め、俺の方を不思議そうな表情を浮かべ振り返った。


かわいい?マカが?
子供をかわいいと思う気持ちは当然のもので、さっきまで俺だってマカをかわいい子供だと思って見ていた。
でも今の"かわいい"は何か違う気がして、何が違うのか気づいてるのに気づかないフリして足を止めながら考える。

何が違うのかってどう考えても答えは1つしかない。





いつまでも、どこまでも
続くと思っていたんだ。前進しないこの関係が。


 

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