SOUL EATER book4

□上書き
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今更泣くことなんてないだろう、なんてさすがに言えず。
マカの親父さんとお袋さんはもう離婚したんだろ?親父さんが他の女と歩いてるのを見ただけで一体何を泣くことがあるのだろうと。
問いたい気持ちを抑えてマカの丸まった背中を静かに撫でてやる。

泣くなよ、なぁ、と何度も声をかけてやるがマカは嗚咽をもらして顔を隠す。
きっと涙や鼻水にまみれた汚いツラをしてるんだろう。
こんな時にそんなツラ見て笑ったりしねぇよ、顔隠してばかりいないで見せてみろよ、なぁ。

そっとマカの腕に手を伸ばして、思い悩んでマカの手をどけることはせずに前髪をぐしゃりと崩しておでこをなでた。


「愛されてないのかなぁ」


くぐもった声に思わず手を止める。


「愛されて、なかったのかなぁ?」


どうだろうか。お前の親父さんはお前を愛していたと思うよ。
親に愛されなかった俺が言うのも説得力無い気がして、ただ口を噤んだ。

マカの頭を自分の胸へ寄せる。
こつりとマカの額が胸へ当たると、マカは何も言わず俺の背へ腕を回した。


「俺様がマカのこと愛してやるから。それでチャラだろ」


慣れない言葉を言ってむず痒くて今すぐ訂正したいが、奥歯を噛み締めてじっと我慢する。
嬉しくないなぁ、と言ったマカの声が、少し笑ってるのに俺は酷く安堵した。




上書き

 

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