SOUL EATER book4

□行動は似てくる
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季節が変わり俺達武器は汗をかく事も少なくなった。
少し太ってしまっただろうか。日本には「正月太り」という言葉もあるらしい。

風呂前に服を脱ぎ正面にある鏡の前で、腹をつまんでみる。
ぎちり。

音を立てたその痛みに一瞬顔を顰めて、そっと視線を鏡に投げると
そこにはただ皮を掴んで痛そうな顔をしているマヌケな俺がいた。


「下らねェ…」


フンと自分を鼻で嘲笑って、脱いだ服を脱衣籠に乱雑に入れる。
風呂場に一歩足を踏み入れた所で、後ろのリビングと洗面所を隔てた戸がドンドンと荒々しい音を立てた。


「ちょっとソウルー、使いたいんだけどまだー?」

「大人しく待ってろよおトイレか?お嬢さん」

「ぶっ飛ばすわよ!」


怒号を聞き流しながらちらりと横目で白い体重計を見やる。
そいつは何も言わず沈黙していて、おそらく俺が風呂に入ったあとに受けるであろう暴力にビクビクしているようにも見えた。

タオルを引っつかんでばたんと風呂場の扉を閉める。
「もういいぞー」と大きな声を出したあとに小さい頃兄と遊んだかくれんぼを一瞬思い出した。

ヤダヤダ。実家の事なんか今は忘れようぜ俺。

一気に蛇口をひねったせいで激しい水音が風呂場に響く。
シャワーから出る水を頭から被りながら、再び聞こえたマカの怒号に口元を歪めた。

マカのやつ、明日デートにでも行くんだろうか。なんてわかりやすいやつなんだろう。

風呂から上がったら体重計にねぎらいの言葉でもかけてやろうかなんて思いながら、シャンプーに手をかけた。


 

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