SOUL EATER book4

□水の上の幻
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現代転生パロ。



「ねぇソウルくん」

「その名前で呼ぶのやめろっつったろ」


俺の名前はもう違うんだ、彼は語気を荒くして言った。

そんな事言われても私はこの名前しか知らないわ。
そう消えそうな声で言うと彼は少しさみしげな表情をする。


「ねぇソウルくん」


もう一度呼ぶと今度は彼は片眉を上げて私の目をまっすぐに見る。
彼が押しに弱いことなど前世から知っている。

背中に微かに当たる噴水の水しぶきが煩わしい。
公園の噴水の近くで会おうと誘ったのは僅か30分前で、急な呼び出しで最初こそ嫌だと言っていたというのに彼はこうして来てくれた。
彼は押しに弱いのだ。


「髪、今度は真っ黒になっちゃったね」


もう何度目かわからない同じセリフを投げかける。
返事はいつも無言だった。


「……いいんだよ」


だけど返ってきたのは笑みを含んだ声。
それに思わずえっ?と聞き返すと、彼は自分の髪の毛先をくりくりといじり、続ける。


「憧れてたからな」


何に、と無粋なことは聞けず。
色々な気持ちが集まって言葉を詰まらせた私を、彼はにやりと笑った。

その顔はどこか優しげででも皮肉っぽくて、私は思わず胸の辺りをギュッと掴む。


「変わってないのねソウルくん」

「もう俺はソウルじゃねーよ」


もう違うんだ、と彼は強く言って、数秒見つめ合ったあと不意に視線を外す。


あなたがソウルくんじゃないのなら、もう私のことに興味なんてないのかしら。

そんなことは聞けずに私はただ黙って、背中に当たる水しぶきの冷たさに耐えていた。


ソウルくんと彼が重なって見えて、私は酷い虚しさを覚えながら目を細めるしかなかった。


水の上の幻

 

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