SOUL EATER book4

□支配者の資格
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す、と音もなく腰に回された腕に、導かれるようにして自分の体とキッドの体を密着させた。
ふわりと私のあとを追う長い茶色の髪を、キッドは弄ぶように空いた手でくるくる巻き取る。
その行動に眉根を寄せれば、それに気づいたキッドがふ、と笑う。

何がしたいのかわからない。
けど拒む気にもなれずされるがままになりながら、私は口内の唾を少量、飲み込んだ。

黄色の瞳は私の髪を捉えたまま離さない。
何が面白いのか口元に僅かに笑みを浮かべながらキッドはくるくる髪の毛を弄る。

黒の袖から見える不健康にも感じる白い手。
それをじっと見つめていると私は何故か物足りなくなって、不安で、その手から髪の毛を奪い取った。
見開かれた黄を無視するようにその白い手に自分の手を重ね、絡ませる。


「レディのお手を寂しがらせてんじゃねぇよ」


ぽつりと言った言葉にキッドはいつもの調子で「あぁ、すまない」と返す。


「俺のものだと思うと全てが愛おしくてな」


支配者の資格



 

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