SOUL EATER book4

□硝子の星
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立場が異なれば、考え方も異なって当然でしょ?
色好い返事
罪滅ぼしの続き。



「よう」と後ろから声をかけられ振り向くと、そこには片手をあげたブラック☆スターが立っていた。
脇に挟んだ黒いカバンを見る限り、今から仕事にでも行くんだろう。


「ランドセル似合ってんじゃん」


私の背にあるランドセルを指差しながらそう言うと、ブラック☆スターは口元に手を当て「ぷっ」と吹き出した。
なによ失礼ね。これでも現役小学生なのよ。
ランドセルの肩ひもをぎゅっと握り締めきっと睨みつける。
その行為に意味はなかったらしくブラック☆スターはついに腹を抱えて笑いだした。


「なによなによ!失礼ね!そんな笑いっぱなしだと会社に遅刻するよ!」

「ひゃひゃひゃ、はいはいわかったよ」


ブラック☆スターはニヤニヤ笑いながらカバンを持ち直す。
そんなに私ランドセル似合ってないのかしら。笑うことないのに。
道に落ちてた小石を、まるで拗ねてますよとアピールするかのように蹴り上げる。
その小石は転がっていき側溝に落ちていった。


「あのあと親御さんには怒られたのか?」


真面目な声に釣られて視線を上げると心配そうな顔が目に入る。
どう答えようか迷った挙句コクリと頷くとブラック☆スターはなんとも言えない顔をした。


「もう家出なんかすんなよ」

「アレは家出じゃないよ」

「一週間も戻らなかったんだから立派な家出だろ」


だって家に居るだけじゃブラック☆スターを見つけられないもの。
説教に耐え切れずまつげを伏せると、ブラック☆スターは気まずくなったのか「あ〜」と小さく唸る。


「お前家遠いんだからあんまりあの辺うろつくなよ。あぶねぇからな」

「そういえばブラック☆スターはなんでココにいるの?会社反対方向でしょ?」

「お前のこと心配して朝のちょっとした時間に来てやったんだよ」


優しいオッサンだろ、と続けたブラック☆スターに「オッサンはやめてよ」と言い返す。
以前は同い年だったせいかオッサン呼びにはどうしても慣れない。
それに30はまだ若いような気がした。


「じゃあな。ちゃんと学校行くんだぞ」


うん、と返した声は小さく。ああもうちょっとだけおしゃべりしたかったな、なんて贅沢を言える訳もなく。
背中を見せながら手を振り上げたブラック☆スターに、見える訳はないけれど私も片手を軽く上げた。


前世でも喋るだけでこんなに遠慮してたっけ。
まるで割れやすい硝子に触るときのよう。


「仕方ないわ。目の前でその硝子が割れたんだもの」


呟いた声は誰の耳にも届かず。





硝子の星



 

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