SOUL EATER book4
□瑠璃色の空
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「居た」
探し求めていた水色の髪を目にとめると私は何を思う間もなくそう口にしていた。
さらりと細い髪の毛が揺れ空色の双眸が私を見つける。
その奥にきらりと星が瞬いた気がして私は思わず身を固めた。
「ようマカ」
最近になって彼はよくそう口にする。
特有の笑い方でもなく「サインやろうか」でもなく「よう」と落ち着き払って言うのだ。
彼がソウルを見つけた時は声もかけずいきなり肩を組むとか
椿ちゃんを見つけた時は甘えるように名を呼んで片手をあげるとか
他の人にはスキンシップをとるのに私にはただ「よう」と声をかけるだけ。
最近になってから、だ。以前はもっと馴れ馴れしかった。
他人行儀になってしまった彼のその言葉に私も同じように「よう」と返してみる。
それについて反応はなく彼は窓の外に視線を戻す。
身を乗り出して空を見つめる彼が、窓から落ちてしまうんじゃないかと不安で
まるで誰かに挨拶するかのように私は片手をあげる。
それは空をひっかくばかりで彼の腕を捕まえることはできなかった。
「星見えねーなー」
ぽつりとそう呟いてほうと溜息を1つもらす。
「時間的に、もう見えないんじゃない」
だって夜はもう明けたんだもの。そう付け足しながら私も星を探そうと空を見上げる。
かつん、と踵が床を打ち鳴らす。
ブラック☆スターの隣りに立ち窓から空を見ると、仄かに彼から血の匂いがした。
「…お風呂入った?」
「入ったよ」
「まだ匂う」
「まじかよ」
棒読みで答えるブラック☆スターに口の端が微かに持ち上がる。
あとちょっとの所でターゲット逃がしちゃったからきっと傷心なのね。
吸い込まれるように空を見上げる彼の顔を横目で見て、私は彼が空に溶けていっちゃうんじゃないかとまた要らない心配をして、
そっとブラック☆スターの肩に指先をひっかける。
「ねぇブラック☆スター、今日も綺麗な空色の髪だね」
「なんだよ急に。気持ちわりぃな」
瑠璃色の空