SOUL EATER book2

□電話が鳴ったら
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遠くでジリンジリンとけたたましい音が鳴り響く。
塞いだ耳の隙間から侵入するその音に僕はきつく目を瞑る。

ガタガタ震える身の内でラグナロクが「情けねぇな」と舌打ちを鳴らしたのを感じた。
たかが電話が鳴ってるだけじゃねぇかと、ラグナロクが僕のこめかみを拳でゴリゴリ押す。
痛いから止めて、と言いながらラグナロクを引き剥がそうと耳を塞いでた手を離す。

途端に大きくなる電話の音。
ヒィッと言いながら吸い込んだ空気に思わずむせて、じとりと涙が滲む目で電話を盗み見る。
騒がしい音をたてながら切られる気配のない電話。
相手が誰かは分かっていた。
だから取りたくなかった。

でも僕はその電話の主と仲良くなりたいが為に受話器へ手を伸ばす。
僕なんかと関わったら彼女の人生が狂ってしまうんじゃないかと怖くて、怖くて。
自分を変えるなら今しかない、と受話器を握りこんだ手の力は剣を握る時より強く。

がちゃり、と静かに音を立てベル音は鳴りやんだ。



電話が鳴ったら


「早く出てよ」

  

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