SOUL EATER book2

□苦しみの連鎖
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立場が異なれば、考え方も異なって当然でしょ?
色好い返事
罪滅ぼし
硝子の星の続き。



「なぁこの感情ってなんて言うんだろうな」


ぽつり。雨が頬に当たる。
ぽつりぽつりと強くなる雨に、駄目だとわかってはいたが思わず瞼を下ろす。

任務中ヘマをしたのはマカの方だ。
なのにこの俺様が空と対面するようにして地面に倒れているのは、つまりそういうこと。
致し方のないことだ。マカがピンチなら俺は守らなきゃいけないし、それは遠い昔に自分と約束した事項である。

どくどくと血液が流れていく。
あんなちゃちぃ殺人鬼に武神がやられるだなんて、噂にでもなっちまったら大変だ。
その前にきっとキッドがカタをつけてくれると思うが。

ああでも。
マカは武神を殺した女ということで憎まれるのだろうか。
だって俺様ときたらいろんな奴らに信頼されてて、でもマカはラストデスサイズを作った職人だから。
そういえばマカ達は遠くまで逃げ切っただろうか。椿のことだから適切な助言が出来てるだろうが、ああ残る心配が多すぎて死にきれねぇ。

今から死ぬのに1人ってのは悲しすぎるもので、こんなことなら咄嗟に叫んだ「逃げろ」って言葉も言わなきゃよかっただろうかと一瞬考えて、
数秒後に自嘲を含んだ笑いがその考えを吹き飛ばす。


この感情はなんというのだろう。

恋人に置いていかれた悲しみが、じわじわと心の内を刺激していくのに対して、彼女らの悲鳴が聞こえぬ安心感がほわほわ心中に浮かび上がる。
だが閉じた瞼の裏で俺の意識は段々と薄れてゆく。
最期の最後に彼女に好きだと伝えればよかったとか、そんなアホみたいなことを考えて、ああ。やっぱ俺たちにそんなのは、似合わねぇなと、思い直した。

これで漸く星族の血は永遠に絶たれるのだ。



苦しみの連鎖



けれど、夜空に浮かぶ星を、もう一度、見たかった、などと、俺は、死ぬ間際に、呑気に、 

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