SOUL EATER book2

□礼は要らん
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ソウルとマカの家の赤いソファの上で、
ぼけっと寝転がりながら天井を見て、ミキサーに混ぜられたような脳内を漁る。

今日の夕飯なんだろう、明日授業に体育あったっけ、ぐっちゃぐちゃのとりとめのない物事をひたすらに考える。
だが脳の中央でしっかりと思うことは1つ。


暑い。


もう何月だったっけ。七月か。
七月は日本語でなんて言うんだっけ?師走?
…違う気がする。

昨日寝る時に椿が話していた気がするが、全く思い出すことができずに俺の興味は七月から消え失せた。

じとりと汗が滲む。
額を手の甲で拭うと日に照らされた汗がきらりと輝いた。

ソファのひじかけに足を投げ出し、出かけていったソウルの帰りを待つ。
ゲーム機をキリクに貸したままだとかなんとか言ってたな。
もうしばらくかかりそうだ。あーあ、待たずに一緒に行けばよかっただろうか。


「クーラー」


をつけよう、と思うより早く身を起こす。
勝手につけていいだろうか、ええいちっせぇ事は気にすんな!
ひとつまみ程の葛藤の末に素早く立ち上がり、クーラーのリモコンを探す。

テーブルの下を覗いていた時、ガチャンと玄関のドアが開く音が聞こえた。

ソウルが帰ってきたんだろう、と玄関まで迎えに行く。
リビングと玄関が繋がったドアを開けるが、視界に映ったのはソウルではなく買い物袋を提げたマカ。


「ああ来てたの」

「…おう」

「何残念そうにしてんのよ、私で悪かったわね!ってか汗すご!」

「おう」

「アイスあるけど食べる?」

「食う!」


元気よく返事をするとマカの顔が少し綻ぶ。
クーラーの事なんか頭から吹っ飛び、玄関先でガサガサ袋を漁るマカを待ちきれずに両の手のひらを差し出す。
「犬みたい」という彼女の言葉は無視して早くしろよーと急かす。


「はいどうぞ」

「あんがとマカさすがだな!」


取り出されたのは箱に入った細長い白の棒アイス。
恐らくミルク味なんだろうが、滲んだ汗を忘れる事ができるものならば味はなんだってよかった。

アイスの袋を破り開ける俺の脇をすり抜けて、マカがリビングに向かう。
きっと買い物袋の中身を冷蔵庫に移す為なんだろう。
玄関先でアイスにむしゃぼりつく訳にはいかず、マカの後ろをついていく。



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