SOUL EATER book3
□略称は信頼の証
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たっぷりとテーブルに積まれたハンバーガーを1つ掴む。
ガサガサ包装を広げているとキリクが「ギブアップ」と両手をあげた。
「情けねぇなぁ。そんだけしか食えねぇのかよ」
「お前と1、2個しか差はねぇだろ!」
「もっと食えるっつーの!」
笑いながらキリクの肩を叩くと疲れたような笑いを返される。
バスケするには人数が足りなさすぎる、マックに行って大食い対決でもしようぜ。
そう言い出したのはどっちだったか。
俺だったような気もするしキリクだった気もする。
ポスン、とハンバーガーをテーブルに積み直し、さて残りを1人で食うには一苦労だと溜息をもらす。
「お前ら2人は後先考えなさすぎ」とはソウルの言葉だ。
その時は2人でうるせぇやと笑ったが今回は流石に反省する。
「ブラ☆スター」
急に呼ばれてジュースをこぼす。
俺とキリクの短い叫び声が店内に響き注目を浴びる。
やったぜ目立ってる、と頭の隅で思うのと同時に床を濡らすジュースに思わず口を押える。あーあ。
「なにやってんだよ全く!」
「だってよ」
「拭け拭け!」
「なぁ、ちょっともう一回」
「何がだよ!」
「俺の名前」
自分を指さし半笑いで言うと、キリクは顔をしかめながら「はあ?」と聞き返す。
呼べよ、と言うと疑問符を浮かべながら
「ブラック☆スター」
「違う違う」
「?…ブラ☆スター」
「げひゃっはっはっは!」
なんだその呼び方!名前が長いとは言われた事があるが略されたのは初めてだ!
腹を抱える俺に変な顔で睨むキリクとモップを抱える店員という、不可思議な光景がそこには広がっていた。
略称は信頼の証
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10巻の「ブラ☆スター」呼びが個人的にはツボでした。