SOUL EATER book3

□乱雑な思いやり
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カラスはうるさく鳴き喚く。
目の前の血だまりの中の肉塊を見て、私は腰を抜かし大鎌に掴まったまま立ち上がることができなかった。
カァカァ喚き散らしながら肉塊をつつくカラスにこみ上がるものを感じ、口を塞ぐ間もなくその場に嘔吐する。

ソウルが小さい声で私の名を呼んだ。
視界の端で黒い靴がざり、と砂利を踏みしめた。


「馬鹿だなぁ」


「自分が殺した物に恐怖するとか良い笑いもんだぞ」いつもの口調でそう言うと私の目の前で立ち止まる。
彼は私の吐しゃ物を横目で見て「きたねぇ」と笑う。

彼はニヤニヤと半笑いで片手を伸ばし、私の両頬を掴む。
そのままぐっと力をこめられ口をすぼめる。

耳を塞ぎたくなる鳴き声の中で「小者が」と呟かれた声は聞いたこともない程に低い。
ジワリとした鼻の奥の違和感と共に目が潤む。
どうしていいかわからず彼の顔をじっと見つめていると彼が口の端をゆるりと持ち上げた。


「処理してくるから待ってろ」


ブラック☆スターがそっと私の目を隠すように手を置く。
それに従うように瞼を落とすと涙が1つ頬を流れた。



乱雑な思いやり



――
ソウルイーターの世界では死体ってどうなってるんだろう。
 

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