SOUL EATER book3

□遺失物
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「よう」と後ろからかけられた声に振り向きさえせず無視を決め込む。
本を小脇に抱えスタスタと歩けば、さすがの厚かましいブラック☆スターでも気を利かせてスルーしてくれると思っていた。


「おい、マカ」


再度かけられた声に今度は立ち止まってしまう。
立ち止まったからには振り向かねばならず、私はそのことに一瞬顔をしかめ、くるりと振り返った。

振り返った私の目に映ったのは心配そうな顔。
「どうかしたのかマカ」なんていう声の調子は心底不安そうで、私のことを気遣っているのは確実だった。


「何急いでんだよ。具合でも悪いのか?」


彼の白いマフラーが風に揺れる。
ふわり、と浮き上がったかと思えばゆっくり重力にしたがい地面に垂直になる。
伸びた前髪は鬱陶しそうで、いつだったか切ってしまえばと言ったのに彼はそれすらも面倒だと返した。


「物を落としたの」

「物ぉ?」


聞き返すブラック☆スターの間抜けな顔に少しだけ笑ってしまう。
そうよ、と答えると「一緒に探してやろうか」とブラック☆スターは優しく言ってくれた。


「多分ブラック☆スターには探せないわ」

「は?なんでだよ」

「私にももう無理だと思う」


そっと肩の星に手を触れてやる。
するとブラック☆スターは不思議そうな表情を顔に浮かべた。

やっぱり私は今のブラック☆スターを好きになれる気がしなくて、
子供っぽかったあの頃のブラック☆スターを求めてしまって、
成長を嫌うのは良くない事だとわかってはいたけれど、

私はそれ以上ブラック☆スターに何を言う事もなくその場を離れた。


遺失物


前にも書いたけど初期の明るいブラック☆スターがいなくなってしまったようで私は悲しい。大人っぽいブラスタも勿論好きだけどね。
 

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