SOUL EATER book3

□いつかきっと
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ねぇ、と息を吐きながら声をかける。返事は返ってこない。
彼は伏せていた目をゆっくり持ち上げ私と視線を絡ませる。
赤い目はなんだか私を責めているようで、私はなんだかそれが恐ろしくて、意味もなく視線をそらした。


「なんだよ椿」


今日、女の子からラブレターもらってたじゃない?
その内容が気になるの、なんて言い出せず口をつぐむ。

誰もいない教室で彼はパートナーを待つ為だけに椅子に座っていて、机に広げた本は恐らくそのパートナーから借りた物。
私も目的は同じだけれどソウル君と一言だけでも会話がしたくて、いつもは外で待っているのに今日は教室から出れずにいた。


「嫉妬してんだろ」


分かりきったような口調で言うものだから。
私は否定しなければと急いて首を横に振ってしまった。

素直になれないなんて我ながら可愛くないわ。
ここは正直に頷いてしまったほうが少しはマシだったのかもしれない。

首を振るだけで何も言わない私を見かねてか、ソウルくんは視線を私から本へとうつす。


私なんて彼からすればただの友達で。
…いや、もっと酷いかもしれない。親友のパートナー、という立ち位置かもしれない。
魅力的な人が多い死武専内で私の順位なんて下の方だろう。
どっかの本のせいでエロさだけなら一位とも思われていそうだけれど。

私にも、彼は振り向いてくれるだろうか。
そんな自問の答えは見つからぬまま、聞き覚えのある騒がしい足音が教室に近づいてくる。



いつかきっと


 

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