SOUL EATER book3
□稲妻の光の下に
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たっぷり時間はある、と彼の唇が動いた。
だからなんだと言うのだろう。私が首をかしげていると彼はゆっくりと私の手を取った。
窓の隙間から漏れる雨が地面を叩く音。
独特な臭いが私の鼻をかすめる。
時間だけはあるんだ。
彼の口は再び動いた。
私はただ、そうね、とだけ返した。
「でも私たちは手をつなぐだけでそれ以上先には進めないわ」
雨音に急かされる訳でもなく私はゆっくりとそう言った。
彼は酷く傷ついた顔で
俺たちには時間しかない。
唇をそう動かした。
雨音は激しさを増すばかり。
帰ることはできずにただただ一緒の時間が増えていく。
稲妻の光の下に