SOUL EATER book3

□蔵の中に潜むモノ
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手がだらり、と垂れる。
冬だというのに額には汗が滲み、握りこんだ拳の中はじっとりと湿る。

死武専に長い休みをもらい帰省した私は、父から頼まれ蔵の整理をすることになった。
見つけたのは幼い頃のアルバム。
バカだ、なんでこんなもの取ってあるのよ。

床に広げ黙々と読み進めていた私の目にとまったのは、
幼い兄と私が映る一枚の写真。

声にならない声をあげる。ぼろりと見開いた瞳から涙がこぼれ、写真を濡らした。
なんで、見つけてしまったのだろう。開かなければよかった、こんなもの。

急いでアルバムを閉じ、ゴミ袋へ突っ込む。
見たくない、殺してしまった兄など、もう見たくない。

次の整理するダンボールをこちらに寄せ、開こうとした時、ぴたりと手が止まる。


「兄さん」


その声は誰の耳に届くこともなく。
薄暗くホコリ臭い蔵の中央で、ぽつりと口にしてみる。
その瞬間心臓が一瞬大きく鼓動した気がした。

胸に手を当てる。
私はただ兄さんを殺してしまったのではない。喰らったのだ。実の兄を。そして自分のモノにした。
涙が頬を伝う。

胸が締め付けられ呼吸するのも一苦労だった。
ゴミ袋からアルバムを取り出すと、私は静かに一ページ目を開く。

今日だけは、楽しかった兄さんとの思い出を思い起こしめいっぱい泣こう。
それを、不甲斐ない自分から大好きだった兄さんへの償いに。


蔵の中に潜むモノ


 

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