SOUL EATER book3
□真の言葉
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笑顔のまま、椿が口を開く。
「このまま私を犯すの?」
いつもと変わらない表情なのに、言ってる言葉は恐ろしすぎて、右腕に鳥肌が立った。
昨日俺と椿は遊ぶ約束をして、今日遊びに来た椿は、ソファに腰掛けて、お茶でもいれようかって席を立った俺は、椿のうなじが綺麗だと気づいて、美味しそうだと、思って。
ギザギザの歯を立て、椿の柔らかい唇にキスして、ソファに、押し倒して。…押し倒して。
やらかしてしまったんだとはすぐに気づいた。
責めるように黒の瞳は俺から目を離さない。
こんなのブラック☆スターに知られてみろ。俺のパートナーに何してんだと殺されるに決まってる。
「俺、椿が好きなんだ」
謝らなければならないのに。口は勝手に動いて愛の言葉を囁く。
椿は目を細めて、それでも尚俺から目を離さず「そう」と呟いた。
「好きなんだ、愛してる、愛してる」
湧き上がる欲情を抑えるように何度も呟く。
椿は目を細めたまま冷たい声でまた「そう」と呟いた。
怖い、という感情を彼女に抱いたのは初めてで、
どうしていいかわからずに俺は椿の腕を掴む手にさらに力をこめた。
「あなたは私が好きなんじゃないわ」
そんな事はない。否定の言葉が口から出てこなかったのは、今更ながら椿に睨みつけられているという事実を知ったからだ。
「自分に優しくしてくれる人を求めてるだけ」
がらり、がらり、心の奥にあったプライドが崩れて落ちていく。
違うんだ、聞いてくれ。愛を知らないなら俺が教えてやるから。
「たまたまあなたには私が都合が良かったのでしょう?」
「なんでそんな事言うんだ」
奥歯がぎりぎりと軋む。俺はフラれたのだろう。
でもここまで言われる筋合いはない、そうだろ?
俺は椿を愛してた?優しい人が欲しかっただけ?椿が都合がよかった?
俺にはもう、何が本当なのかわからない。
真の言葉