SOUL EATER book3
□時の歯車
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「たぁーっち」
とアンが叫びながら俺の足をぽんと叩く。
急になんだ、と目を丸くしていれば、「鬼ごっこ!」と無邪気な笑顔で言う。
おいおい、この俺様に鬼ごっこだと?相手が悪かったなアンジェラ!
気合を入れて、走り出すアンを追いかける。
と、アンの姿がふわりと消えた。
「あっ!?おいアン!大丈夫か!?」
もしや誰かに誘拐されたのでは、という一瞬よぎった嫌な考えは、
心底馬鹿にしたようなアンジェラの笑い声によってかき消された。
辺りをきょろきょろと見回す。アンジェラの姿はない。
「アン、魔法使うのはインチキだろ?」
「ツンツンだってチートみたいな体力じゃん!」
目をこらし周りを見回すが、アンの姿はどこにもない。
いつから体全体を完全に消せるようになったのだろうか。昔はあんだけ下手だったのに。
成長って案外早いものなんだな。俺もすぐに歳を取って爺さんになっちまうのだろうか。
「ちょっとブラック☆スター!何してんの?早く帰るよ!」
叫び声に顔をあげると離れた所でマカが手を振っていた。
「マカさんだー!」とアンの叫び声と共に、アンの姿が現れマカの元に走っていく。
それをゆっくり歩きながら追いかけ、
マカとアンの交わす会話をぼうっと聞き流す。
「なぁマカ」
「なに?」
「………いや、…やっぱりなんでもねぇや」
爺さん婆ちゃんになっても一緒に、なんて、クサすぎて言えやしねぇ。
時の歯車