破面騎士
□親善試合
1ページ/2ページ
「あ、クラウドさん」
『ん?』
相変わらず制服が全く似合っていないクラウドを見て頬を引き攣らせた弓親だったが、どうにか笑顔を作り口を開く。
「今一角がこの高校の数人に剣道教えてるんですけど…、一緒に見に行きません?」
『一角が?その数人の生徒やらが無事だと良いが…』
「ですよねぇ」
「おーい弓親ー」
「?…乱菊さん?」
振り返った弓親はドアから顔を覗かせている乱菊を見ると小さく首を傾げ、扉に近づいた。
「一角が呼んでる?嫌な予感がしますね、どうも。」
「じゃ、クラウド隊長弓親借りていきますねー」
そう言って去った2人を見送ったクラウドは再び己の席に戻り、先程まで話していた水色に目を向ける。
『さっきの話の続きを』
「あ、はい。クラウドさんって生前妹居たりしました?」
『?…ああ、居たが』
「何か他クラスでクラウドさんが自分の死んだ姉にそっくりなんだって言ってる女子生徒がいるみたいで。クラスは分からないんですけど…」
微かに目を見開いたクラウドは目を伏せると小さく微笑み、顔を上げた。
『…そうか、ありがとう』
「!…会いに行かないんですか?」
『今頃私が死んだ姉だと言ってもその生徒が信じる事は無いだろう。…生前の姿と瓜二つのまま虚となり、現世に戻って来た事が仇となったか』
椅子に凭れ掛かって窓の外を眺める様に顔を窓に向けたクラウドをじっと見た水色もやがて窓の外に目を向ける。
「クラウド隊長ー!」
『ん?』
休日の昼間、なんとなく外を歩いていたクラウドは振り返り、此方に向かって走ってくる乱菊に目を向けた。
「今から一角達が親善試合出るんですよ!見に行きましょ!」
『あ、ああ…』
ぐいぐいと引っ張られる腕を見ながら走り出したクラウドは遠目に見える学校を見上げ、乱菊と共に中に入り込んだ。
「…あら、結局ちゃんと集まったのね」
『……冬獅郎?お前も出るのか』
「成り行きでな…」
青筋を立てた日番谷はどうにか殺気を抑えてそう返し、その様子を見たクラウドは改めて部屋に居るメンバーを目でカウントし始める。
『一人足りないな、一角』
「は!?…おい阿散井!一護はどうした!?」
「アイツなら来ないっすよ。俺が言うより先に妹のサッカーの試合に出る事になったとか。前に無視したら断れなくなったらしいっす」
「んだと…!?っ、お前もう出ろ!」
「ええええ!?」
一角の言葉に目をひん剥いた浅野は非難の声を上げるが、一角の剣幕に口を閉じ、おずおずと防具を手に取った。