破面騎士

□サッカーボール
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「頼む!お願い!」

『………』



 困った様に目の前で頭を下げている一護の妹、夏梨を見たクラウドはちら、と一護を見るが、視線はさっと逸らされてしまう。



「中学生と試合する事になって…でもあたし等だけじゃ勝てないから…!」

『かと言って、私がそのサッカーとやらを出来る可能性は』

「で、でも!クラウドさん教えたらなんでも出来るし…、この前なんかバック転のやり方教えてくれたし!」

『……一護、お前からも何か言ってくれ…』

「あー…、クラウドが出るとシャレになんねぇから止めとけ」



 でも…!と引き下がらない夏梨を見たクラウドは後頭部を搔き、手元のコップに入ったコーヒを飲んだ。



「じゃ、じゃあクラウドさん誰かサッカー上手い友達とか居ない?一兄は嫌だって言って動いてくれないし…お願い!」

『………、一護』

「あー?」

『グリムジョーはどうだろうか』

「連れてくる気か?…アイツサッカー出来んの?」

『ああ見えて随分と器用でな…』



 そう言ったクラウドを見た一護ははぁ、とため息を吐くと夏梨に目を移し、口を開く。



「夏梨」

「ん?」

「今からクラウドがグリムジョーって奴を呼ぶが…、怒らせんなよ」

「は?うん」

『では総隊長殿に許可を…』



 そうして黒崎家から出たクラウドを見送った夏梨は期待に胸を膨らませ、練習をする為家を出た。










「あ?サッカー?」

『ああ』



 沈黙が降り立った2人の様子を遠目にチラチラと見ていた一護はぱちぱちと瞬きを繰り返しながらクラウドを見下しているグリムジョーを見てテレビの電源を消した。



「悪い、俺の妹がクラウドに頼んでたんだ。サッカー出来そうなヤツ呼んでくれって」

「…で、俺を呼んだと」

『ああ。思いの他すんなりと許可が出た事だし…』

「………なんでそこで俺をチョイスした?ウルキオラにでも任せりゃ良いだろ」

『見た目も怖そうな人が良いと要望が』



 …悪い、と謝ったクラウドを見たグリムジョーははー…とため息を吐いて後頭部を搔いた。
 そして一護に目を移すと来い、と声を掛ける。



「なんだ?」

「そのサッカーとか言うゲームのルール教えろ」

「!…ありがとな」

「っせぇ。アイツの頼み事は極力断りたくねぇんでな」



 そうして2人仲良く外に出た一護とグリムジョーを見送ったクラウドは小さく微笑むと後を追う様に家を出た。





















「うわー…怖そう…」

「強そう……」

「カッコいい…!」



 背後で怯えた表情を見せた男の子達を余所にたたたっとグリムジョーとクラウドに近づいた夏梨はキラキラとグリムジョーを見上げた。



「すっげー!めっちゃ強そうじゃん!クラウドさんの彼氏!?」

『…まあ、そう言う事にしておいてくれ』

「チッ」


「名前何て言うの!?」

「…グリムジョー」



 他所を向いてそう言ったグリムジョーを見た夏梨はもう一度強そう…!と呟くと背後を振り返る。



「アンタ等も何ビビってんだよ!この人あたし等の助っ人だぞ!」

「で、でも…」

「怖いし…」


「……チッ、うざってぇな…」

『我慢してやってくれ…。応援には私も行くから』

「テキトーに相手ねじ伏せりゃ良いんだろ」

『サッカーでだがな』



 そんな会話を交わしている最中、はっと表情を変えた夏梨はばっと走り出し、道の途中に立っている少年の元へ向かった。



「!…おい」

『?』

「アイツ、十番隊の…」

『………あ』



 驚いた様にグリムジョーとクラウドが目を見開く中、話しかけられた日番谷は携帯から目を夏鈴に移した。



「あんたサッカー出来るよな?今日の昼、蹴ってあたしにボール返してくれたし」

「…さあな」

『冬獅郎』

「!クラウド…ってなんでそいつがこっちに居るんだ!?」



 目を大きく見開いてそう言った日番谷を見たクラウドは目で後で話す、と伝えた。
 それに納得した様に口を閉ざした日番谷を見た夏梨はグリムジョーと日番谷を交互に見るとぱあっと顔を輝かせる。



「何だよ知り合いなのか?だったら試合出てくれよ!冬獅郎!」

「…試合?」

「そう。あのグリムジョーって言う兄ちゃんも助っ人なんだ、お前も出てくれよ!」

「…アイツ1人で十分だ。それで余裕で勝てる………!」

『「!」』



 携帯の音に反応した日番谷に続いてクラウドとグリムジョーも虚の気配に顔を上げる。
 そしてグリムジョーは徐に目を閉じて場所を特定すると、クラウドと日番谷と共に走り出した。



「俺も適当に仕事しとかねェと総隊長が煩いんでな」

「助かる。随分と数が多い…その上メノスも1体居る」


「冬獅郎ー!高台の公園!其処に居るからなー!」


「…チッ…」

「…お前が出来るんだったら俺は帰って良いか?あんなガキの中で手加減してやるだなんて馬鹿げてる」

「俺は俺の任務が在る。頼む、グリムジョー」



 チッ、と眉を寄せたグリムジョーは刀を目の前の虚に向かって刀を振り降ろし、一気に5匹程吹き飛ばした。



 
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