破面騎士

□仲間の゙死゙
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『――――――!』



 頭に響いたガラスが割れるような音に、はっと目を覚ますクラウド。
 その隣には口を大きく開けて寝ているスタークが寝ころんでいる。



『……アーロニーロ』



 咄嗟に探った霊圧の数が、1つ減っている。
 それは紛れもなく大昔からの付き合いの仲間、アーロニーロのものだった。



「…クラウド、」

『…なんだ、リリネット』

「アーロニーロ、…やられたね」

『………ああ』



 額に手を乗せ、静かに俯けば、リリネットは鼾を掻いているスタークを見てむっと頬を膨らませる。



「…スターク!!」

「うごっ!?」


『……口に手など入れてやるな、死ぬぞ』

「げほっ、ゴホッ!……てめ、リリネット…」

「…やーっと起きた。クラウドはもうとっくに起きてるよ!?」

「……うっせーな…、寝かせろよ…」

「だーめー!!起きなよスタークー!」


「…あ゙ー…だりぃ…」

「……アーロニーロ、やられちゃったよ。」

『……』

「…、知ってるよ」



 リリネットの言葉に眉を寄せたスタークはそう静かに返した。
 その返事に眉間に皺を寄せたリリネットは口を開く。



「…いいの?」

「――――…」

『…良くは、ないさ』

「…クラウド…、」

『だが、私達には何もできない。死んだ者は生き返らない』

「でも、完全再生なら…」

『…アレは、確かに傷を癒す能力だが…アーロニーロの割れたガラスは直せない』

「…っ、」

「……クラウドを責めるな、リリネット。どっちみち今は助ける事よりもクラウドの体力回復が最善だ」

「…でも、スターク」

「…俺達には、どうにもできねーよ」


「―――――クラウド」

『!』



 3人で俯いていた時、扉を開く音と共に入り込んで来た霊圧。
 それに反応したスタークとクラウドは同時に振り向いた。



『…ウルキオラ』

「…」



 相変わらずの無表情で立っているウルキオラはチラリとスタークに視線を移すと、改めてクラウドに視線を戻した。



「…ザエルアポロが動いたな」

『…ああ。』



 ザエルアポロの霊圧が感じられる方向に目を向け、そう言ったウルキオラにクラウドも小さく頷く。
 それを見たウルキオラは3人に背を向け、再び視線をクラウドに向けた。



「来るか?」

『…あえて聞こう。…何処にだ』

「決まっている。…あそこに居る黒崎一護の元へ、だ」



 クラウドの視線は右後ろに向けられ、微かに細まった。
 どうする、と催促の言葉が投げかけられ、クラウドは首を横に振った。



『止めておこう。私はお前達が死にかけた時に行く。…気づけば死んでいた、など私が許さん』

「…分かった。その代わり、黒崎一護が死んでも文句は言うなよ」

『…ああ。大丈夫だ、アイツは死なない』

「…」



 クラウドに、苛立ちの視線を向けたウルキオラは、その後何も言わずに踵を翻した。



『―――朽木、ルキアか』

「…あ?」

『アーロニーロを殺した奴だ』

「…あのザマじゃ、相打ちなんじゃねーのか?」

『…嫌、死んでいないな。微かに霊圧が残っている。』

「へぇ…、ンな事分かるもんか。」

『ああ』



 2人は立ち上がり、小さな窓から外を覗く。そうすれば更に感じられる霊圧に、2人同時に目を細めた。



「…チッ。結論は無駄死にかよ…、胸糞悪ぃ」

『…』

「……お?」

『…一護とウルキオラだな』



 窓の外を見ていた2人はピクリと反応し、少し目を見開いた。
 何か怒ってんぞ、そのイチゴ?と言ったスタークを見て、クラウドも小さくああ、返事を返す。
 ん?と首を傾げるリリネットを尻目に、2人揃って顔を顰めると2人揃って大きなため息を吐き出した。



 
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