破面騎士

□脱出と敵襲
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   ――――ガチャリ



『!』



 眠っていた最中、扉が開いた。
 その音に目を開けば、侵入してくる光に目を細める。



「…おはよう、クラウド」

『…藍染様』

「ああ。腕の痛みはどうだい?」


『全く支障ありません』

「そうか。ならばいいだろう」

『?……何かあったのですか』



 徐々にこの牢の少し先にある会議用の部屋に集まってくる十刃の霊圧に問いかければ、藍染はさすがだ、というように頬を吊り上げた。



「侵入者が来ていてね。…その1人が黒崎一護だ」

『!…一護が…』

「十刃が負けることはないだろうが…一応として君を此処から出そうと思ってね」

『…出られるのですか』

「ああ。だが、消耗した分の霊圧を戻す為に多少は時間がかかるがね」



 その言葉と共に外される足枷や手枷。
 久々に地面に足を着いた。
 そう思った矢先、足の力が抜け地面に膝を着いた。



「大丈夫かい?」

『…はい。問題ありません』



 無理に足に力を籠め、体を持ち上げると牢屋の入り口付近に移動していた藍染の元へ歩き出す。



「…皆集まっている。こっちへ来なさい」

『はい』


















「――――諸君、おはよう」



 やはり足はまだ治っていないのか、かなり遅れて藍染の後ろを歩くクラウド。
 それに構わず藍染は先に十刃の前に立ち、席に着いた。
 十刃達は黙って藍染を見据えている。
 藍染はその様子に口元を吊り上げると、口を開く。



「君達に良い知らせだ。…来なさい」

『………全く…』


「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」



 クラウドの言葉に反応したのはウルキオラ、グリムジョー、ハリベル、スターク、ノイトラ、ヤミー、アーロニーロ、ザエルアポロ、バラガンの9人。
 その9人とは逆に、何も知らないゾマリは首を傾げている。



『私も堕ちたものだ。霊圧のみで気づかれないとは』

「…クラウド…!」



 ハリベルが立ち上がり、駆け寄ってゆっくりと歩いているクラウドを横から支える。



『…私の席はもう既に無い様だな』

「俺んトコ座れ。俺は立つ」



 そう言って立ち上がったのは現在の第一十刃であるスターク。
 何も知らないゾマリは席を立ったことに静かに驚いていた。



『…すまない』



 ストンと座れば、肩にかけられる上着。振り向けば、ウルキオラが無表情で上着を脱ぎ座っていた。



『…ありがとう』

「…ああ」


「――――では、本題に移るよ」

『…はい。』



 クラウドの言葉に空気が一瞬にして変わる。
 グリムジョー達は懐かしい感覚に頬を緩ませると、藍染に視線を向けた。



「敵襲だ。人数は3人…石田雨竜、茶渡泰虎、黒崎一護だ」



 映し出された映像には、黒崎一護等が走り虚圏を駆け回っている姿があった。
 グリムジョーは一護の姿に目を見開き、ウルキオラはチラリと見るとすぐに視線を外した。



『…』

「コイツ等が…侵入者カ?」

「テンション上がらないね…、全然。」

「…侮りは禁物だよ。彼等は依然、旅禍と呼ばれたった四人で尸魂界に乗り込んだ人間だ」

「四人?一人足りねーな」



 ヤミーの言葉に口元を吊り上げる藍染。



「…井上織姫だ」

「ハッ。仲間を助けに来たってかァ?相変わらず人間は分からねーな。ま、すぐに終わんだろ」

「…聞こえなかったのか」

「あ?」

「藍染様は、侮るなとおっしゃったはずだ。ノイトラ」

「別にそう言う意味で言ったんじゃねーよ。…なんだ、ビビってんのかァ?」

「…なんだと」


『…止めろノイトラ、ハリベル』

「「!」」



 クラウドの言葉にピタリと止まる2人。



『ノイトラ…藍染様のおっしゃる通りだ。お前の実力ならば、一護にも勝利できるだろう。…だが、アイツにも仲間が居る。…油断するな』

「…わぁったよ」

『ハリベル。安い挑発にそう易々と乗らなくていい』

「…ああ。すまない」



 クラウドの適格な意見、また何者も屈服させてしまうような威圧感に素直に謝る2人。
 そんな風景に結成当初の者たちは懐かしさを感じていた。



   ―――バン!



『!』



 大きな音に振り向けば、立ち上がり外に出ようと歩き始めたグリムジョーが見える。



「…何処に行く、グリムジョー」

「侵入者を潰しに行くんだよ。手っ取り早いだろ」

「藍染様のご命令がまだだろう、席に戻れ」

「その藍染様の為にアイツ等を潰しに行くんだろうが!口出しすんな!」



 その言葉に空気が止まり、沈黙が包み込む。



「――――グリムジョー」

「……はい」

「私の為に動いてくれるのは嬉しいが、話の途中だ。今は席に戻ってくれないか」

「…」

「…どうした?返事が聞こえないぞ、グリムジョー・ジャガージャック」



 ズシリ、と藍染の霊圧がグリムジョーに降り掛かる。



「…っ!」

『!藍染様』

「なんだい?」

『霊圧を収めください』


「…」

『…っ、』



 クラウドは席を立ち、グリムジョーの前に移動すると対抗するように霊圧を藍染の霊圧にぶつける。



『…藍染様』

「…」

「…クラウド…」

『…っ、グリムジョー、早く席に就け…もうもたない…っ』

「…流石だね。まだ完全に戻っていないままに私の霊圧を受け止めるとは」



 すっと肩の力が抜ける。
 それと同時に地面に倒れこんだクラウド。



「クラウド!」



 グリムジョーが駆け寄れば、ゆっくりと起き上る。



「…皆分かってくれただろうが…敵は3人だ。侮る必要は無いが、ことを荒立てる事もない」

『…』

「各自、自宮に戻り従属官と共に行動を共にしてくれ。クラウドはスタークの宮に」

『…はい』

「…それでは、…解散」



 
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