破面騎士

□井上織姫
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『―――誰だ』



 クラウドは瞑っていた目を開き扉を見る。



「俺だ」



 感情の籠もっていない声にすぐウルキオラだと確信する。
 入っていい、と返事をすれば遠慮なく開かれる扉。
 そこからはやはり予想通りに無表情のウルキオラが入って来た。



『何かあったのか?』



 2日ぶりだな、と頬を緩めればウルキオラは無表情のまま口を開いた。



「人間を連れて来た」

『人間?』



 突然切り出された話題に首を傾げればウルキオラは説明するように座り込むと口を再び開く。



「黒崎一護ではない。…黒崎一護の仲間だ」

『一護の仲間…』

「ああ。俺が依然現世に行った時に見た能力が興味深いと藍染様がおっしゃっていたのでな。連れて来た」

『そうか』



 随分話すようになったウルキオラに頬を緩めると共にその人間の事が気になった。



『名前は?』

「井上織姫、と言った」

『織姫…、ウルキオラ。藍染様は』



 どこに、そう言う寸前に感じた巨大な霊圧に言葉が止まる。その数秒後に扉が開いた。



「―――ああ、ウルキオラ。ここにいたのか」

「!」

『…藍染様』

「やあ、おはよう…クラウド」


『はい。おはようございます』

「何の話をしていたんだい?」

『ウルキオラが連れて来た人間の話です』

「ああ、井上織姫か」

『はい』

「―――会いたいかい?」

『…多少は』



 そう答えると、藍染は少し考えるような素振りを見せるといつの間にか立ち上がっていたウルキオラに目を向ける。



「ウルキオラ、すまないが彼女をここに連れてきてくれないかい」

「…はい」



 藍染の願いを当たり前のように聞き届けたウルキオラは扉を開き、少し急いでいるように出て行った。



『…よろしいのですか』

「ああ。丁度彼女の能力を直接見たいと思っていたところなんだ」

『直接?』

「ああ。クラウド、力を抜いていなさい」



 まさか、と藍染に視線を戻せば振り下ろされた刀が見えた。



 
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