破面騎士

□新・第四十刃
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『…、』



 いつも通り一人静かに牢の中で眠っていた時、扉の前に二人の気配を感じクラウドは目を開いた。



『…ギン…?と…』



 あれからほぼ毎日様子を見に来る市丸と親しくなり、名で呼ぶようになったクラウド。
 そのギンの隣に見知らぬ気配を感じてクラウドは眉を潜め、靠れ掛けていた背を起こし扉を見る。



「クラウドちゃん、入るで?」

『ああ』



 ギンのいつも通りの言葉に軽く返すクラウド。
 その言葉をギンが耳にすれば扉が開いた。



「今日は藍染隊長が新しい子作りはってねえ。その紹介に来たんや。入り。」



 ギンに続くようにして入って来たのは漆黒の髪に真っ白な肌、そして表情は無表情のまま入って来た男だった。
 クラウドが名前を問おうと口を少し開いた時、それを遮るように男が口を開く。



「…ウルキオラ・シファー」



 その名を聞いたクラウドは先程からピクリとも動かぬ顔を見上げ、再び口を開いた。



『ウルキオラ、か。私はクラウド。クラウドオーデルシュヴァンクだ』

「…クラウド」

『ああ』

「…」



 ウルキオラは名前を確認した後、ただ静かにじーっとクラウドを見ている。



「…霊圧は」



 ないのか、というように目で訴えかけてくるウルキオラを見たクラウドは同じくの無表情で口を開いた。



『ああ。生憎、この鎖で塞き止められている』

「…そうか」

『…お前の目は冷たいな。感情が無い様だ』

「感情?」

『ああ。心が無いように思える』

「…心とは、なんだ」

『…その内分かる時が来るさ』

「…」


『ウルキオラ。』

「なんだ」

『私を見てどう思う』

「…何も」

『そうか。…また来い。お前のような奴なら藍染様も許してくださるだろう』

「…」


「じゃあそろそろ行くわ。じゃあね、クラウドちゃん。」

『待て、ギン』

「?」



 ギンは振り向いてクラウドに少し近づき、クラウドの口元に耳を近づける。



『ウルキオラのナンバーは?』

「まだ決まってないで?」

『なら藍染様に伝えてくれ。ウルキオラは第四十刃に相応しい。とな』

「分かった。ちゃんと伝えとくわ。」

『ああ』

「…」

「じゃあねー。」

『…』



 ギンのその言葉を最後に重い扉は閉ざされ、クラウドは再び壁に靠れ掛り目を閉じた。



 
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