破面騎士

□ノイトラ・ジルガ
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「…はい。また私の勝ち」

「…チッ…」

『…終わったか?』

「!クラウドー!」



 ネリエルは響転でクラウドに近づき、その勢いのまま抱き着いた。
 それを難なく受け止めたクラウドはチラリとノイトラを目に映す。
 彼は目立った怪我こそしてないものの傷は無数にあった。
 ネリエルの肩に手を乗せたクラウドは己から引き剥がし目を細める。



『……重い。太ったか?』

「ええー!?何処!?」



 クルクルと回るネリエルを見、呆れた様に笑ったクラウド。
 その様子をノイトラは不愉快だと言わんばかりに眉を寄せて眺めている。
 「気に食わねェ」その言葉を聞いた2人は一瞬黙り振り返った。
 2人の視線を受け止めたノイトラは怒りや屈辱を吐き出す様に口を開く。



「気に食わねェ!なんで雌が雄の上に立つ!?」

『雄が雌に劣った。…ただそれだけだろう』

「…気に食わねェ…!どいつもこいつも!!」

『…ネリエル。私の部屋の菓子を食べて良い』



 ネリエルの密かな好物はこっそりと尸魂界からギンが盗っていた菓子。
 菓子と言う言葉に目を輝かせたネリエルはぴょんと飛び跳ねると走りだす。
 その好物を知っているのはクラウドだけだが、ギンはクラウドの好物だと勘違いし運んでくるのだ。
 ネリエルを見送ったクラウドはノイトラの側に座り傷に手を翳した。



「…何のつもりだ」

『お前、どうやってネリエルに勝つつもりだ?』

「あ?」



 質問に関係の無い事を切り出され思わず眉を寄せるノイトラ。
 そんなノイトラの腕を引き体を起こしてやったクラウドは静かにノイトラの目を見据え、再び口を開く。
 「卑怯なやり方はよせ」そう言ったクラウドから目を逸らすノイトラ。
 



「…フン、知るかよ」

『頼むぞ。…治療してやる。』

「いらねー」

『煩い。そんな所にいられると邪魔だ』



 ノイトラはぐ、と押し黙りこの場がクラウドの領地であることを思い出す。
 そのまま傷口に添えられるクラウドの手を見、不機嫌に顔を背けた。
 クラウドは瞬時に傷口を塞ぎノイトラ自信、すうっと消えた痛みに微かに目を細める。
 完治した傷口を見たノイトラは立ち上がりクラウドはその背中を見て口を開く。



『…出ていけ』

「分かってる」

『…』




 氷の様に冷たく


 (相変わらず白い野郎だ)

 (思わずそう思ってしまうほど)
 (彼女は白い、白い虚だった)


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