破面騎士

□目を見張れ
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「…アレ?藍染は何処に行きました?」

『穿界門と言うものを潜り、現世に向かったようだ。傷の具合は?』

「…おお、凄いっスねー。全然平気っス」

『それは良かった。…死神、貴方は回復術は使えるか』

「すみませんが、専門外っス。此処に来てる卯の花隊長なら出来るんスけど…」

『…了解した。その卯の花隊長は何処に居られる』

「…あのビルっスね」

『分かった。貴方も来ていただきたい、あのビルには私の仲間達が死神を集めてくれている』

「了解っス。でも、現世の方はどうするんスか?」

『一護が向かった。多少時間は掛かるかも知れんが、それ程時間を此処で潰す気は無い』

「そうスか」



 そこまで話すと2人はビルに目を移し、同時に走り出した。
 数秒も満たずに着いた2人は並べられている死神やハリベル達を見下し、目を細める。



『…最も危険な状態の者は』

「このガキだな。体を真っ二つだ」

『…』


「!……ひよ里さん」

『知り合いか?』



 クラウドは両手をかざし、傷口を修復しながらそう声を掛ける。
 だが、浦原の返事は返らず拳を握る音が微かに聞こえた。



『……よし、完了だ。…意識はあるか?死神』

「…なんやねん…お前…」



 ムクリと起き上ったひよ里は唖然と己の腹を見下し、瞬時に周りの死神達を治し始めるクラウドを見上げる。



『………卯の花隊長殿は何処に居られる?』

「此処に居ますよ」

『!…軽い傷は貴方に任せて良いか』

「ええ。勿論」



 そうして2手に別れた卯の花とクラウドは瞬く間に全員の傷を防ぎ、体力の回復を完了させた。



「…凄いっスね…。本当に1時間も経ってませんよ。」

『貴方のお影だ、卯の花隊長殿』

「いえいえ、貴方の能力在ってこそです」


「…うむ。主の計らいにより死神達を蘇らせて頂き、感謝しておる」

『!……貴方は』

「儂は護廷十三隊総隊長、山本元柳斎重國」

『…これはどうも。会えて嬉しく思います、私はクラウド・オーデルシュヴァンク。第一十刃と呼ばれておりましたが、只今は藍染惣右介を惨殺する為この場に居ります』

「…という事は、この先もそちらは護廷十三隊に協力すると?」


『はい。その為の護廷十三隊の回復と申しても良いでしょう。私は貴方方に全面的に協力する。…が、恩着せがましい願いを1つ申しても良いでしょうか』



 そう言って顔を上げたクラウドを見た総隊長はピクリと眉を動かし、静かに口を開く。



「主には恩が在る。申してみよ」

『我等を―――尸魂界に置いて頂きたい。そして我等の安全と居場所を確保して頂きたい』

「…しかし…」

『我等は決して死神を襲わないと約束しよう。せめて話し合いの場だけでも頂きたい。それが許されなければ…、私はこの場の全員を今この場で殺す。そして藍染惣右介も殺し、この後も力を持った我等は人間達を喰う』

「……。承知した、この戦いの後に話し合う事とする。…大した器を持った虚の様じゃのう。仲間の為にそれだけの事を成すか」

『私はこの者達の為ならば…、命を捨て置く覚悟。無論、貴様等の仲間と認められたならば、貴様ら死神も全員私がこの命を持って護る』


「…うむ。では現世に向かう事としよう。指揮は一時的にクラウド・オーデルシュヴァンクに任せる事とする」

『…何をおっしゃっているのです。貴方でないと「異議は認めん。儂は主の器を試す」……了解した。では、私が前線を走る。死神達はその後についてきてくれ』



 その言葉に頷いた死神の隊長格達は穿界門を開き、クラウドを筆頭に走り出す。
 そしてそんなクラウドの背後では面白い事になった、と笑うギン、そして拳を静かに握りしめている東仙が走っていた。



 
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