破面騎士

□サッカーボール
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「…随分と量が多いな」

『ああ…。そろそろ試合が始まってしまうが…』

「つっても、んな事で抜けられる状態かよ」



 試合が始まろうと夏梨達が円陣を組んでいる頃、日番谷、クラウド、グリムジョーの3人は再び出現した大量の虚で足止めされていた。
 数分後にどうにか片付いた虚を見下したクラウドはすぐさま義骸に入り、グリムジョーも義骸に入ると2人同時に走り出す。



「…時間は」

『始まって10分と言った所だな。これだけ虚が出ていると、次にいつ出るか分からない…。』

「正式な試合じゃないなら、点を取ればすぐに終わる筈だ」

「…着いて来たのかよ、お前」

「……タイミングがタイミングだ、俺も入ってさっさと終わらせる」



 …気になる事もあるんでな。
 そう言って走る速度を上げた日番谷を見た2人も同様に速度を上げると見えた公園に目を細め一気に階段を踏み越えた。



「!グリムジョー…、クラウドさん!冬獅郎も!」

『悪い、急な用事が入ってな…。今終わらせて来た』

「良いって!今から取り返そうぜ!」

「「おう!」」



 一気に活気づいた夏梨達を見下したグリムジョーは首を鳴らし、日番谷ははぁ、とため息を吐きポケットに手を入れる。



『勝てば良いんだな、夏梨』

「うん!」

『という事は、手加減は要らないと』

「勿論!」

『グリムジョー』

「分かってるっつの」



 静かに歩き出したグリムジョーは中学生の一人の前に立つと静かに見下す。
 見下された中学生は思わずヒッと声を漏らすとゆっくりとグリムジョーを見上げ、グリムジョーは口を開いた。



「今から俺とあの白髪が交代で入る。…点差で20超したら試合を終わらせろ。分かったか」

「は、はいぃ!」



 選手交代!そんな夏梨の声と同時に始まった試合に走り出したグリムジョーと日番谷はボールを互いに回しながら着々とゴールに球を入れていく。



「すっげー…あの2人半端ねぇ…」


「何なんだよコイツ等…!つか大人入れるなんてずるいだろ!」

「あ?文句あんのか」

「すみませんありません!!」



 バシュ、とボールを再びゴールに入れたグリムジョーは息一つ切らさず走り続けている。
 チラ、と点差を見た日番谷は後2点で試合が終わる事を確認すると隣に居る夏梨にボールを渡した。



「お前が入れろ。キャプテンなんだろ」

「!…よっし、任せとけー!」

「………」



 すっとゴールに入り込んだボールを目で追ったグリムジョーは足を止め、興味が失せた様に目を逸らすとクラウドの元へ向かった。
 目の前に来たグリムジョーを見上げたクラウドはありがとう、とお礼を言うと微笑む。



「…後でなんか奢れ」

『例えば?』

「……寿司」

『分かった。後で行こう』



 そしてふと遠目に話している日番谷と夏梨を見た時、空が避ける様な鈍い音が響き、クラウドとグリムジョーは目を見開くと走り出した。



「うわっ!?」

「え、ええ!?」

「黙ってろ!」


「ちょ、なんで俺等女の人に担がれてんの!?」

「えええ!?」

『…!』



 空から落下した虚は地響きを起こし、そしてゆっくりと立ち上がった。
 霊圧に当てられて気を失った中学生達を見たグリムジョーとクラウドは目を合わせ、グリムジョーのみが義骸を脱ぐ。



『頼んだ』

「分かってる」


「2匹か…」

「!え…冬獅郎…?」



 グリムジョーが着地すると、夏梨は義骸を脱いだ2人を交互に見て目の前に立っている虚2体を見上げた。



「グリムジョー、右を頼む」

「チッ」



 同時に走り出した2人は同時に一撃で終わらせると地面に着地し、背後の夏梨とその隣に立っているクラウドを見る。



『…メノスでもない虚はもう一撃か』

「当たり前だ。お前達を相手にしたんだからな」

「死神…?」



 ポツリと呟かれた言葉に反応した日番谷達は夏梨を見ると微かに目を見開いた。



「…俺達も見えるのか」

「何だ、お前知らねェのか日番谷」

「隊長を付けろ。…何をだ」

「こいつは黒崎の妹だ。だから見えてんだよ」

「!黒崎の!?」




 (何だよお前偉い奴なのか冬獅郎ー!小学生なのに!)
 (小学生じゃねぇ!俺はある意味グリムジョーと同じ様な歳なんだぞ!)
 (は、え………じゃあグリムジョーも小学生なのか…?)
 (んな訳ねぇだろ!!ぶっ殺すぞ餓鬼…!)


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