破面騎士
□新しき日常へ
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「静粛に!!」
ドン、と打ち付けられた杖の音に振り返った死神達と破面達は一斉に音の発生源を見上げ、その場に立っている総隊長を目に映した。
「破面を率いるクラウド・オーデルシュヴァンクとの対談の後、儂とオーデルシュヴァンクの合意により結果をこの場で発表する」
「……」
ゴクリ、と生唾を飲み込んだ一護はチラリと市丸、東仙を目に映し、総隊長に視線をずらす。
「破面、および市丸ギン、東仙要の尸魂界移住を認める!!」
「隊長…!」
「ギン!」
「うわっ、吃驚した…。僕かて嬉しいんやから噛み締めさせてぇな」
「東仙!」
「よかった…、本当によかった…」
「…ありがとう、」
再びちらほらと騒ぎ出した死神達を見た総隊長は再び杖を打ち付け、口を開いた。
「破面側の条件を飲み、此方の破面側への要求を発表する」
「……」
「まず、破面および市丸ギン、東仙要を1つの隊にまとめ、護廷十三隊の一角…無番隊と名付けた隊の隊員として我々に協力せよ。その隊の隊長はクラウド・オーデルシュヴァンクとし、全ての戦闘、任務では前線を受け持つ事を義務とする」
「…つまり俺等が死神共を護るって事か」
「変な条件飲みやがって…」
「実際は私達を野放しにしておくより手の内に秘めておいた方がこれから先が楽だと考えた結果だろうが…。市丸達の刑を全て無しにしたのは大きな収穫だな」
「また、非常時または我等の指示が無い場合での刀剣解放を禁ずる。隊長であるクラウド・オーデルシュヴァンクはこの鈴を常に身に着ける事を約束し、常に儂の目が届く場所での自由を認める事とする」
総隊長の背後から姿を見せたクラウドは鈴を受け取り、髪を一つに縛った。
そして死神達に背を向け、己が着ている死神と真逆の色をした死覇装の上に来ている黒い隊長羽織を見せ、総隊長に目を移す。
「このように無番隊の隊長であるクラウド・オーデルシュヴァンクには我等死神とは逆の色をした死覇装を身に着けさせ、破面および市丸ギン、東仙要はその服装のままで居る事を義務付ける」
『……』
「…ではこれより、無番隊の隊舎を建てる!体力傷共にオーデルシュヴァンクによって完治している筈じゃ。その恩を返す為、働けぃ!!」
『!?総隊長殿…』
「良い目覚ましになるわぃ。…くれぐれも我等死神に手出しはせぬよう。今後は儂の決定のみでは簡単に通らぬ様になる」
『はい、分かっております。…ご協力、本当にありがとうございました』
頭を下げたクラウドは黒い隊長羽織を靡かせて地面に着地すると、駆け寄って来た破面達に微笑むと背後を指差した。
『お前達への条件は出来る限り少なくしておいた。死神の為に力を振い、それ以外は好きに過ごしてくれ。…という事で、隊舎を建てる為に木を取りに行くぞ』
「…了解した」
「頑張ろうね、クラウド!」
『ああ』
「あ、あの…」
『?』
振り返ったクラウドは市丸と東仙の後ろに立っている檜佐木達を見ると小さく首を傾げる。
「お、俺達も手伝います!」
「あたしも…」
「え、乱菊もやってくれるん?」
「チッ、松本がやるなら俺もやってやる」
「儂も手伝おう」
「クラウド!俺もやるぜ!」
『…ああ、ありがとう』
一護や日番谷の姿を見たクラウドは微笑み、歩き出した。
(へぇ…、日番谷隊長も手伝ってくれるんや)
(勘違いするな、お前の為じゃねぇ)
(分かってるって。クラウドちゃんの為やろ?)
(おーいクラウド俺等も手伝ったるわ!ほら、ひよりも来ぃ)
(ゔ、…腹の礼やからな!これが終わったらもう他人や!!)
(建て終わったら俺と闘え。だったら手伝ってやる)
(お礼は金平糖だよー!)
(!…ありがとう。是非お願いする)
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