破面騎士

□黒崎一護の死と蘇生
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「―――治せ」

「!」

「…今すぐにだ」



 グリムジョーが一護を見て固まっている織姫に向かってそう言い放った。
 それを聞いて小さく頷くと、織姫は一護の蘇生に取り掛かる。























 そんな中、織姫が居た場所では織姫によって怪我が完治したロリとメノリが呆然と立ち尽くしている。



「「……!」」



 カツン、カツンと言う足音と向かってくる霊圧に、2人は同時に反応した。
 そのまま入り口を恐怖の眼差しで見つめていた2人は同時に目を大きく見開く。



「―――これはどういう事だ?」



 恐怖に震える2人の前を、無表情で歩くウルキオラ。
 部屋の真ん中に着いた時、再び口を開いた。



「…誰がこれを?」

「っ!ぐ、グリムジョー…」



 ビクリと反応したロリは消え入るような声でそう返すと、ウルキオラは静かに振り向く。



「…そうか」

『―――ウルキオラ』


「!」

「ぁ…」



 ロリとメノリが後ろを振り向けば、無表情で佇んでいるクラウドが立っている。
 少し遅れて振り向いたウルキオラに視線を移すとクラウドは口を開いた。



『あの女ならグリムジョーが連れて行った。一護を治すためにな』

「…」

『言っただろう?一護は死なない、と』



 たとえ一度死んでもな。
 そう言ったクラウドを見て、ウルキオラは眉間に皺を寄せた。
 それを見たロリとメノリは、初めて見たウルキオラの表情に大きく目を見開く。



「…気に入らんな」

『?』

「何故分かる?…信じているから、とでも言うのか」

『…ある意味そうかも知れんな。私が助けたガキだ。そう簡単に死なれると興が覚めるというものだろう』

「………」



 2人は黙り込むと、数秒間睨み合った。先に目を逸らしたのはウルキオラ。
 そのまま部屋を無言で出て行った。



『―――――死ぬなよ』

「「!」」



 ロリとメノリが驚いてクラウドを振り向けば、そこには既に姿は無く、遥か遠くでは2つの大きな霊圧がぶつかり合っていた。
 その近くには、織姫がいる事を知った2人は顔を伏せると、とぼとぼと歩き出す。



「……」

『…ウルキオラ』

「…なんだ」

『それが心だ』

「!」



 立ち止まったウルキオラは静かにクラウドに目を移す。
 その目は微かに揺れ、動揺が見え隠れしていた。



『お前が私に対して疑問を持った時点で、意味が分からないと眉を寄せた時点で…お前の心はそこに有る』



 そう言ったクラウドを見ている目は更に揺れ、ばっと目を逸らしたウルキオラは逃げる様にグリムジョー達の元へ向かった。



 ―――意味が、分からない。



 ウルキオラはただ只管、混乱している。




 (…ウルキオラの感情を呼び起こしているのは、もしかすると彼女かもしれないな)
 (彼女にはとても世話になってしまった)
 (彼女の温かさが、ウルキオラをきっと変えるだろう)


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