破面騎士
□孤独な豹の王
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『………』
再び静かに考え出すクラウド。
頭を回転させていると、重要なことを思い出した。
此処先程の場所では藍染が作り出した空間とはまた別の世界…、という事は時間が
「おいクラウド!!」
扉を破壊しかねないような勢いで扉を開けたヤミーを振り返り、なんだ、と問いかけたクラウドは刀を片手に立ち上がる。
「藍染が呼んでる」
『…分かった。』
クラウドは歩き出し、響転で去ったヤミーの居た場所を通り過ぎると、同様に響転で藍染の元へ向かった。
「やあ、クラウド」
『…ご用件は』
「ごめんなぁ。呼んだんは僕やねん。」
『…』
「十刃探しはどうなったん?」
『良い人材は見つけましたが、まだ力不足と判断しました』
「へえ…じゃあもう向こうやったらヴァストローデになってるんちゃう?ここと向こうは時間の進み方がずれてるし。クラウドちゃんの事やからアドバイスとか言っといてんやろ?」
『…そうかもしれませんね』
微かにヴァストローデ級の霊圧が感じられることに目を細めたクラウドは立ち上がり、刀を片手に藍染を振り返った。
『…では虚を回収してまいります』
「ああ。頼んだよ」
『はい』
クラウドは走り出し、霊圧の元へ急いだ。
『…見つけた』
「!」
霊圧の元はやはりあの時の虚だった。
姿形は変わっていないものの、霊圧は桁違いに大きい。
『…久しいな、虚』
「…」
そう呼びかけるも、黙って虚を喰っている相手は呼びかけに反応しない。
『…グリムジョー、だったか』
「…ああ」
名を呼ぶと反応したグリムジョーは虚の残骸から一部を引きちぎり、再び食した。
『その霊圧からするとヴァストローデ級となったか』
「…」
そう確認すると、当然だというような顔でグリムジョーは再び虚を口に含んだ。
それを見たクラウドは口元を吊り上げたが、五匹の霊圧が足りないことに気が付き、口を開く。
『他の虚はどうした?』
「…」
グリムジョーは静かに後ろに視線をよこし、再び虚を口に含んだ。
その視線の先には、倒れた虚が山積みになっている。
『…来い、グリムジョー。お前を連れて行く』
「…ああ」
クラウドは倒れている虚達を担ぎ、走り出した。
その背後をついて行くグリムジョーは音も無く無感情に走り続けている。
『…藍染様。連れて参りました』
「…」
「…ほう。確かに良い人材だ。」
『…順位は6ほどで良いかと』
「そうだね。…その虚達は?」
『この虚の…グリムジョーの従属官となる者たちです』
「分かった。こちらに来たまえ」
藍染が宝玉の元へ向かうとグリムジョーはついていき、他の虚は十刃落ちに任せてクラウドは踵を翻して歩き出した。