破面騎士

□目を見張れ
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「―――――!」



 現世を歩いていた藍染は突然現れた無数の霊圧に空を見上げると、上空に立つクラウドが率いている死神達に目を大きく見開いた。



『…浦原殿、と言ったか』

「?はい」

『藍染と宝玉、どれ程融合している?』

「…結構融合してるっスね。取って死ぬかどうかも微妙っス」


『…そうか。…では、今からギンと私で藍染と宝玉を引きはがす。いいな、ギン』

「勿論や。」


『そして死神の方々はその様子を見ておいてくれ。恐らくそれだけでは藍染は死なない。死ななかった場合、藍染を殺しに掛かってくれ。その指揮は山本総隊長殿に託す』

「…うむ。承知した」


『…行くぞ、ギン』

「はいはい。」



 そう言葉を交わすと二人は走り出し、一瞬で藍染の前に現れた。
 そんな二人の背後には一護のクラスメイト達が怯えた表情で二人を見上げている。



『…ギン、後ろの人間達は』

「さあ。多分現世でそれなりに霊圧が在る人間の子達やろ」

『…おい、人間。そこの路地に隠れていろ』


「!…助けて、くれるの…?」

「…でも、見た所人間じゃないね」

「一護と同じ奴か!?」

『…いや、違う。…路地に入れ』

「と、とりあえず入るぞ!ボーイズアンドガールズ!」

「…じゃあ、始めましょか」



 クラウドは走り出し、一瞬で藍染の背後に回り両腕を拘束した。
 そして間もなくクラウドの腕力により両腕が二本共折れる。



「な…」

『…』



 それに目を見開いた藍染だったが、またしても瞬く間にクラウドの霊圧に動きを封じられた。



「まだこれ程の力を…っ」

『まさか、先程の力が私の全力だと?貴様はどれ程私を閉じ込めていたと思っている』


「…く…っ」

「…よっと」

「!?…か…は…っ」



 藍染は霊圧から逃れようともがいたが、時既に遅くギンの刃が藍染の胸を貫いている。



「あーあ、思い出すなぁ。昔の自分の事。鏡花水月の能力から逃れる唯一の方法は、完全催眠の発動前から刀に触れておく事…って言う一言を聞きだすのに随分頑張ったもんやわ」

「…く…」

「あっちの空座町での戦闘の間も護廷十三隊の誰一人それを知るモンはおらへんのに、みーんな藍染隊長を殺せる気でおるもんやから見とってはらはらしてたんや。藍染隊を殺せるのは僕かクラウドちゃんぐらいのモンやのに」

「…知っていたよ、ずっと昔から。君の狙いなど知っていた上で私は昔から君を連れていた。君が私の命をどう狙うのかに興味があったからだ。だが残念だギン。君がこの程度で私を殺せると…?」

「思てません。やからこそクラウドちゃんと一緒に来る事を悟られへん様に先に殺されたんです。僕にはクラウドちゃんの能力が付いてる。まあそれだけやないんですけど…見えます?ココ欠けてんの。今この部分の刀藍染隊長の中に置いてきました」

「何…!?」

『…』



 クラウドは静かに歩きだし、藍染の背後へ。
 それを見たギンは口元を吊り上げ、徐々に藍染に向かって歩き出した。



「僕の卍解の能力、昔お伝えしたと思うんですけど…アレ嘘言いました。言うた程長く伸びません、言うた程早く伸びません。ただ、伸び縮みする時、一瞬だけ塵になります。そして、刃の内側に細胞を融かし崩す猛毒がある」

「く…」

「分かってもろたみたいですね。今胸貫いてから刀戻す時、一欠けだけ塵にせんと藍染隊長の心臓の中に残して来たんですわ」

「ギン…っ」



 クラウドは片足を持ち上げ、ギンは指先を藍染の胸元に翳した。



「しゃべる暇あるんやったらはよどうにかした方がええですよ。まあ、何しても死ぬモンは死ぬんやけど…、死せ…神殺鎗」

「ギン…、貴様…!」

「胸に穴が空いて死ぬんや。本望ですやろ?」



 ドン、と藍染の胸に大きく穴が空き、中の宝玉が現れた。
 それを見たクラウドは右足で宝玉をギンに向かって蹴り、藍染の穴に足を入れると虚閃を纏わせ一気に右に蹴り、藍染の体を裂く。



「おっと。えらい乱暴やなぁ、クラウドちゃん」

『…』



 おどけた様にそう言ったギンだったが、クラウドは何も答えずもう一度足を振り藍染の体を真っ二つに蹴り、裂く。
 それを見たクラウドは左腕で藍染の上半身を殴り飛ばした。



「…あはは、藍染隊長が二つ」

『やかましい』

「…見た所、あの金髪の小っちゃい子の敵討ちみたいやね」

『…』



 クラウドが上空を見上げれば、ひよ里がざまあ見ろ!と叫び、隣に立っていた平子達もクラウドに向けて親指を立てている。



『…人間、早く離れるぞ。ギン、宝玉をすぐに浦原殿の所へ』

「了解。」



 ギンは急いで跳び上がり、浦原の元へ。
 ほっとした表情を浮かべている一護のクラスメイト達だったが、クラウドは走れ、と一言伝え眼鏡をかけた女子生徒を抱え走り出した。



「な、なんで走るんだよ!?倒したんじゃ…っ」

『いいからついて来い。恐らく更に強くなる』

「ええ!?」

「て、ていうかアンタ誰!?なんであたし達を…っ」

『私は一護の知り合いだ。貴様等は黒崎一護を知っているな?』

「え、うん。…クラスメイトだけど」

『クラス…?分からんが、知り合いならば助ける理由は在る』



 そう話していると、背後で光が溢れ出し、一本の柱の様に真っ直ぐと空に向かって溢れ出した。




 (もうヤダ!なんで私達がこんな事に巻き込まれてんのよ…っ)
 (そんな事言ってる場合じゃないだろ!とにかくこの…)
 (超巨乳異国美人について行くしか!道は無ぇ!!)
 (…実はちょっとテンション高いでしょ、啓吾)


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