破面騎士
□真打登場
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『…っ、』
「!…クラウド」
『…無事か、一護』
「…ああ。………」
『…一護?』
「…」
クラウドの呼びかけに少しは反応を示すものの、一護は藍染が消えて行った場所を眺め唖然と立ち尽くしていた。
「一護!!」
「!?」
「何をぼさっとしてんだよ!穿界門を開けろ、一護!!」
「親父…」
一護の顔を見た一心は歩きだし、一護の肩に腕を乗せると前を見据え口を開く。
「行くぜ。俺達が空座町を護るんだ」
「……、」
一層曇る一護の表情を見た一心は眉を寄せると思いっきり額と額をぶつける。
それに驚いていてっ!?と声を上げる一護だったが、一心は変わらぬ表情で再び口を開いた。
「聞こえなかったのか!?俺達が空座町を護るって言ったんだよ!一護!」
「!……、無理だ。そんなの無理に決まってる」
「無理かどうかなんてやってみなきゃわかんねーだろうが!」
「分かるよ!親父だって分かってんだろ!!あんな霊圧したバケモンに敵うわけねぇよ!!」
「!…そうか…、やっぱりお前には、あいつの霊圧が分かんのか」
「…え」
「…行くぞ」
そう言って歩き出した一心を唖然と見る一護。
その様子に気が付いた一心は足を止めると振り向かず口を開いた。
「…来ねぇのか」
「…、」
『…行け、一護』
「!…けど」
「また、お前は何もできず他人にやってもらって。それでまたお前は笑うのか!甘ったれてんじゃねェぞ!今お前以外に誰が居る!?またそこに居る虚に助けてもらうのか!?」
『…考えてもみろ。藍染が空座町に向かったという事は、あちらでも死者が出るという事だ。あの時助けた命も、お前の大切な友人の命も…いとも簡単に失われる』
「……っ。…親父、……穿界門を開けてくれ」
「…」
『…よし、行って来い一護』
「行って来いって…お前は…」
不安気な一護の目を見たクラウドは静かに微笑み、刀を鞘に戻すと静かに立ち上がった。
そして破壊された街を見渡し再び一護に目を移す。
『私は今から全力でこの場に居る死神達の回復に尽くす。死者も全員蘇らせる』
「!…出来んのか…?」
『ああ。…ただし、虚はハリベル達以外は止めておくよ』
悲しげにそう言ったクラウドを見た一護は目を見開き、悔しげに顔を伏せる。
その様子を見た一心はばし、と背中を叩き一護とクラウドに背を向けた。
『私はいい加減に、仲間達の為に何かを捨てなければならない。それが今この時だ』
「…ああ」
「――――クラウド!」
「あっ、一護も居る!」
「藍染の霊圧が無くなったが…。何処行った?」
『尸魂界の空座町だ』
「という事は、この場は一旦安全だという事か」
『ああ。…今からこの場に居る死神全員と我等の仲間に加わるであろう虚のみを蘇生する』
そう言って歩き出したクラウドを見た一護は手を伸ばそうとしたが、一心に腕を掴まれ阻止された。
その様子を見ていたネリエル達は何も言わずクラウドについて行く。
「…考えられるのはハリベルぐれーだな」
「あの女3人組もなァ」
『ああ。バラガンは諦めようと思う』
「…うん。それが良いと思う」
『…ああ』
静かに目を伏せたクラウドは立ち上がり、しゅん、と一護の隣に移動すると軽く肩を叩いた。
「…行ってくる」
「行ってらっしゃい、一護!」
「ああ、サンキュ。ネル」
そうとだけ言うと一護は穿界門を潜りその場を去った。
「俺達は他の死神達を一定の場所に集めておく。あのビルの屋上でいいか」
『ああ』
「行くぞ。俺とリリネットはあっち。他はお前等で分担して行け」
軽く話し合うとウルキオラ達は散り散りに。
その間に回復した浦原は小さなうめき声と共に起き上る。
(ギン…ッ)
(乱、菊…、心配しやんでええて…。その内僕助かるから…)
(そんなの…っ、信じられるわけ…!)
(だから大丈夫やて…。…泣かんといてや…)
(…どうやって運ぶ、リリネット。ちなみに言うが、俺にあの雰囲気に入る勇気も覚悟も無い)
(スターク頑張ってよー…)
(なんでこっち来たんだろーな、俺等…。はぁ)
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