破面騎士
□集い、そして破壊する
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『―――…』
『…』
地面の砂に向かって倒れたクラウドはピクリとも動かない。
それを見下している栞もまた、全く動く気配がない。
「…っ、クラウド!」
一護がふらりと立ち上がり、クラウドに駆け寄った。
グリムジョーやネリエル、ウルキオラもクラウドの傍らに行き、無傷のスタークが栞と向き合う。
『…これで、私の生きる意味が出来たのかな』
「…あ?」
『…っ、栞…を…』
「!」
スタークは驚いた様に背後を振り向いた。
そこには吐血を繰り返しているクラウドがネリエルに支えられてその場に座っている。
『…は…っ、』
「お前…」
『…まだ、生きてんのクラウド』
『お前の、様な人間とは…出来が違う』
「人間!?」
「あの子…まだ…」
『…っ、所詮は私の記憶から作り出した残像に等しい存在だ…、それはつまり、人間だという現実は変えられん…っ、』
ゲホ、と再び吐血するクラウドを心配げに見つめるネリエル。
静かに歩き出した栞を見たクラウドは刀を支えに立ち上がり、再び2人は刀を構える。
『…これで、終わらせる』
『フン、何する気さ』
フッと口元を吊り上げたクラウドは走り出した。
それを見た栞は前に刀を振り上げるが、クラウドはその横をするりと抜け、背中合わせの体勢になる。
『っ!』
『終わりだ。…お前も、私も』
『まさか…っ』
『私も危ういが…、構わない』
『やめっ『虚天斬空』…っ』
ずぶりと2人の腹部を貫通した2対の刀は融合し、巨大化した。
『…はぁ…っ』
すぐに刀をもとに戻したクラウドは横に倒れる。
栞は数秒間立っていられたが、すぐに逆方向に倒れた。
『…く、そ…っ、』
『……』
『痛い…っ痛いよ馬鹿…っ!』
ドクドクと溢れ続ける血を見て栞は静かに涙を流した。
その様子を横目に一護達はクラウドの元へ再び駆け寄り、抱き起す。
「大丈夫かクラウド!」
『…ああ、大丈夫、』
「すぐに治します!」
織姫がすぐさま傷口に手をかざし、その場を再生させていく。
それを横目に見た栞は悔しげに地面を拳で殴りつけた。
『何さ、アンタには、沢山仲間がいるのかよ…っ』
『…栞、』
『ばっかみたい。…私が本当のアンタなのに…、なんで私の方が弱くて、私の方が仲間が居なくて…っ、愛してくれる人、さえも…!』
『……スターク、栞を立たせてくれ。ウルキオラ、私を持ち上げてくれないか』
「…ああ」
離せ、と暴れる栞の腕を掴み、
スタークがクラウドの元へ引っ張っていく。
逆にウルキオラはクラウドを持ち上げ、共に歩いてきた。
『…っ、なんだよ』
『…』
再び対面した2人は両者共に睨み合った。
数秒後、徐にクラウドが手を伸ばし、栞の頬に触れる。
『な、何さ。今頃許しを請おう何て甘い考えは捨て…、い゙!?』
栞が話している間にも関わらず、クラウドは思いっきり額をぶつけた。
衝撃で倒れた栞はその場で目を回し、クラウドは額の痛みに拳を固めた。
「お、おい…?」
『…問題ない。今の衝撃で私の記憶ごと霊圧を流し込んだ。…栞には、見ておくべき過去がある』
そう言ったクラウドの前に移動した織姫は額の傷も治し、完全にクラウドは回復した。
それに目を細めたウルキオラはクラウドを離す。
『…ありがとう、井上織姫。すまないが、ウルキオラは私が見る。グリムジョーの傷を頼んでもいいか?一護も私が見るから』
「は、はいっ」
『…もう一つ、ネリエルの額の傷を、治してくれ』
「!」
『そうすれば、もう小さくなることはないはずだから』
「…はい!」