本という名の欲望

□鈴持ち魔物と幸せな少年
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俺はずっとずっと一人だった。





皆と違って健康で無ければ、必要とされない。
足手まといの役立たず。




身体は思うように動かない。




皆の所へ手が伸ばせない。







「あぁ、まだ生きてるのか。」

朝になって目覚めるといつもこう思う。
俺が生きてたって意味もねぇのに。


学校の皆は俺をおいてけぼりして、家族には見放された。









俺は一人、独りなんじゃ。









「もう死にてぇな、死んで楽になりてぇよ。」
誰も俺を見てくれないなら、死んだ方がマシじゃ。
でも、自分で死ぬ勇気がない。



『おじいちゃん、お見舞いに来たよ!!』
『ありがとね』


こんな光景を見て、羨ましく思う。俺にはそんなの無いから。
時々妬ましいとか思ったりする。






俺って何があるんじゃろう。





何にもない、思い出も、友達も、家族も、心も、名前も。




「俺は何のために生きてるんじゃろうな………?
ずっと病院で一人、誰にも見てもらえないで、愛されないで死ぬのかな?死んだことも気づかれないで一人でいるのかな?」


病状の悪くなった俺は病院に閉じ込められた、存在を否定された気分になる。

俺の病気は重いし、いつ死ぬかわからねぇ。



そんな俺の夢、それは誰かの思い出になりたい。
思い出になって、俺の記憶や想いを誰かに覚えてて貰いてぇんだ。


でも、きっと叶わないんじゃろうな。




諦めよう。



「できた……。」
俺はいつものように折り紙をして退屈を潰す、勉強はしない。
人が居たなら勉強する気になったと思うけどさ、居ないならめんどくさいしやんねぇ。

「絵描こうかな……でも俺絵心ってやつ無いんじゃったな。」


毎日同じ繰返し、何か物足りない気はするけどこれ以上求めたらダメじゃ。


俺には何も無いんだから。
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