本という名の欲望

□季節外れの花
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勝太は僕にある約束をした。


「オレノ命ヲキオニアゲルカラ、側ニイテホシイ。
生カスモ殺スもキオノ自由、ダカラ死ヌ時マデ側ニイサセテ欲シインダ。」


僕に自分の命を好きにしていい代わりに側にいて欲しい。

それが彼と交わした約束である。



「勝太、いい天気だね。」
「うん……、そうだな………。」



会うたびに心を開いたからか、表情が柔らかくなってきてる。片言だった喋りは普通になった。


「キオ、聞いてくれるか?」
「何?」
「オレね、思ったんだ。
家族にも見放されてさ、お前しか側に居ないとなるとオレは愛されてないって。
オレ、居なくなった方が良いかも。」


彼の言葉を頷きながら聞いたり、話したりする。


「勝太はこの世界が嫌い?」
「嫌いだ、どうしてオレばっかヒドイめに合わなくちゃいけない?
オレは誰かの側に居ちゃいけないのか…………?」
「いてもいいんだよ、苦しい思いをした分だけ幸せになれるときは本当の幸せになるよ。
だから、諦めないで。僕が側に居るから。」


悲しむ勝太を抱き締めるのはもう何度めだろうか。




「キオって、兄ちゃんみたいだな。」
「僕の方が年上だし。」
「見た目はオレと同じぐらいじゃん。」


初めての友達、友達とのお喋り、何もかもが新鮮に見える。彼と出会ってまだそんなに経ってないからかな?3か月って意外と短いものなんだなぁ。


「勝太、君は叶えたい夢ってある?」
「ゆめ…………?」
「うん、ある?」
「…………………………。」







勝太は目を閉じて黙ってしまった、なんか悪いこと言ったかも。



暫くすると、返事が帰ってきた。




「オレ………は……………、



キオに殺されて死にたい……。」
「!?」
「オレ、死ぬときまでキオと居て体が使い物にならなくなったら殺して貰いたい。
お前に殺されるなら本望だよ。

大好きな人に終止符を打ってもらえるんだし。」




やめてよ、なんでそういうこと言うんだよ………!?


そんな悲しそうに笑って言うの………!?




「キオ……………?オレ、何か悪いこと言った………?」
「え?」
「泣いてる…………。」


目から暖かいものが流れてきた。



涙だ。

「大丈夫だよ、勝太は悪くない。」
「キオ……。」
「勝太、君は僕に言ったね。
『自分の命を好きにしていい』って。」

勝太はこくりと頷く。

「明日、君を殺す。吸い殺すことにする。」
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