本という名の欲望

□季節外れの花
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「死にてぇ……、死にてぇ…………。」


この少年、『切札勝太』と出会ったのは3か月も前のこと。


僕は気まぐれで散歩に出掛けた、空の散歩を。吸血鬼だから空飛べるし、飛ぶっていっても浮いてる感じだけどね。


偶然勝太の病室を見つけて、それからなんだ。



彼を初めて見たとき、僕は彼と友達になりたい。その気持ちが溢れた。






僕の家は吸血鬼の中でかなり地位の高い血族だ、だから友達と呼べるものが居なかった。
おまけに僕は一族の中でも特殊能力持ち、同じ吸血鬼の子に恐れられている。

その特殊能力のせいで勝太の記憶が見えてしまった。





彼は学校で虐めを受けていた、嫌がらせや悪口、暴力は当たり前だったみたい。それがきっかけで独りぼっちの勝太は心に大きなキズを負い、中毒症と精神障害になったようだ。
病院に入院してから2年経っていて、中毒症の方は回復しているようだけど精神障害は治る様子は無い。



なんか、ほっとけない。




そう思った僕は彼の前に現れて話しかけた。


「こんにちわ。」



勝太はびっくりした様子で僕を見た、怯えてるみたいだった。


そこからゆっくりと彼は僕に言った。





「………ハジメマシテ………。」



片言に言われたけど、僕にはそれが嬉しかった。




他人から挨拶を返されることがあまりなかったから。



「僕はキオ・アスノ、キオっていうんだ。」
「…きお…?」
「そう、君の名前は?」
「勝太………。」
「勝太っていうんだね、初めまして!」


勝太は僕の頭を撫でる、虚ろな目と僕の目は合っていた。


「な、何?」
「綺麗ダ、オレト違ッテ綺麗。」


泣きそうな顔をする勝太に僕はよくわからなくなった、彼の言葉は僕にこう言ってるように聞こえたんだ。






『心と体が汚れた自分と僕とでは差があり過ぎる』って。







「キオハ沢山「好キ」ヲ貰ッテル、オレナンカと友達ニナロウナンテ駄目ダヨ。」
「どうしてそんなこと言うの?」
「ダッテ、オレ蟲ダラケダカラ。」
「君は人間だよ、僕と違って。
僕は吸血鬼だから。」


勝太を抱き締めてそう言い聞かせた。
それからかな、勝太の所へ行くようになったのは。
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