小さな本の野望

□空っぽのテノヒラ
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Side ATARU






オレは魔物、人とは違う生き物。
だから人を喰ったり殺したりして生きている。
自分が生きていくために。



人間は醜い生き物だ、自分のために他人を蹴落としたり貶めたり一人だけ助かろうとしたり、うんざりする位バカばっかり。
そんなバカのために死ぬバカはもっとバカだ。下らない奴のために死ぬことねぇのに。




こんなアホな世の中、無くなっちまえばいいのにって思ったりする。







こういうことを言っときながらオレも元は人間。人間として死に、魔物として生きているんだ。死にきれなかったモノとして。



あーあ、退屈だ。





今日もオレは廃墟のビルでのんびりしている、廃墟のビルに構ってられないのが今の人間だしオレの寝ぐらに。








そんな時だった。






「此処だったら誰にも見つからないよな…………。」



人間がこのビルに入ってきた、それも小学生くらいの男の子。


茶色で無造作な髪型に赤いヘッドホン、整った顔、あどけないけど綺麗だ。






でも何だろう、少し哀しそうだ。
目は虚ろな感じだし、生きてる人形って感じだ。




そんなことはどーでもいいや、人間は人間。食糧だ。

オレは真の姿を開放する、いつもは人の姿してんだけど本当の姿は化け物ウサギ。
ウサギと狼混じったような魔物になる。









「オイ、そこのお前。」


のそのそと歩きながらアイツの前に現れた、けどアイツは驚かなかった。


怖がってもいなかった。
しかも、オレに近づいて来てる。

戸惑ったオレは思わず立ち止まった。




アイツはオレの元へ来た、それでオレの顔に手を添える。


それから哀しく笑いながらこう言った。









「ねぇウサギさん、腹減ってんの?」
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