綺羅星の如く
□戌色のひとり
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ふ、と瞼を持ち上げる。
最初に意識が戻ったのは、わたしだったのか。
初めて瞼を持ち上げたのは、ぼくだったのか。
同時なのかもしれないし、バラバラだったのかもしれない。
兎に角、視界は開かれた訳で。
目の前には、黄金の蜜色と。
肌へ馴染むかに広がる闇色。
【1人】で降り立った【世界】は、そんな景色に染まっていた。
……と、思う。
“猫、ちゃん?”
“…まま…”
どちらともなく頭の中で互いを呼べば、意識はそれぞれキチンと有る様で。
口へ出さなくても、意思の疎通は出来た。
“えっと…元気?”
“うん!ぼく、ゲンキだよー”
身体が1つなのだから、わたしが健康な時点でこんな質問はマヌケなんだろうけど……念の為。
“ココ、何処だろう…”
“どこだろーねー?”
なんて、コレもマヌケな疑問だったよね…。
初めて訪れる世界じゃ、何処に居ようと地名も何も分からないし。
仮に地名が分かったとして、帰る家も無いのだから……どの道、迷子と変わらない。
でもわたし達が生きる為には、情報は少しでも欲しいトコロ。
“ねぇ、ままぁ”
“…どうしたの?”
相変わらず、わたしを《まま》と呼ぶ猫ちゃんに返答すると、わたしの腕が勝手にスッと上がり、辺りを指差した。