創・魔導物語(長編)

□終焉の夢と再生の朝
1ページ/3ページ

【終焉の夢】


夢。

夢を見る。

いつもじゃあない。
時々。本当に時々、ふと思い出した様に見るーー夢。

内容は覚えていない。
でもきっと、夢を見ていた。

そして多分それは、悲しくて哀しい物語。
大きな声を上げて、泣き出したかった気もするし。
あまりの理不尽さに、憤りを覚えた気もする。

だのに、どうしてだろう……強烈な愛おしさも感じるんだ。

覚めれば全く覚えていないのに、ね。

ただ、夢を見た。

その感覚だけは、酷く印象に残っていて。
感情の波が脳をうねる。
熱く、冷たく、苦しく、切なく。
最後に、ポツリーー喪失感。



“ボクは【また】届かなかった”



嗚呼、どうして?
瞼を開くと同時に押し寄せる。

行き場の無い、悔恨の念。
しかし再び瞬いた後には、殆どが忘却の彼方へ……。



“……ごめんね……”



刹那の間際、ボクは誰かに謝罪する。
ねぇ、キミは……だぁれ?





廻る。
廻る。

元の位置まで、廻ってーー戻る。

【再び】始まりの朝は、ボクの元へ巡る。



――創・魔導物語ーー

Present by,(c)恵春屋
恵春ヤヌス

……2013.02/20……
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ