ドラマ『魔王』成瀬領

□再会
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あのアトリエで会ってから一年程過ぎた頃、成瀬は橘弁護士の元で着実に弁護士としての力を身につけていった。
時々、橘弁護士の代理として相談を請け負う事も多くなっていた。
そんな成瀬 領をそばで見ていた橘弁護士も成瀬の実力を認めているが、彼は大学に通った経歴は無く大検の資格を受け、司法試験に一発合格という異例の持ち主。
仕事振りも真面目でどんどん弁護士としてのノウハウを吸収し近い将来、二十代の若さで自分の事務所を持つだろうと確信していた。


成瀬:「では、これで失礼します。」

成瀬は取引先にそう告げると、足早に事務所へ帰ろうと歩き出す。
すると、胸元のポケットから携帯が鳴り取り出して見ると見覚えのない番号からだった。
もしかするとあのアトリエで会った子かもしれないと一瞬頭が過るが確信が持てず取り敢えず通話ボタンを押してみた。

成瀬:「・・もしもし成瀬です」

《 ・・あの私、立石 沙織です。先生に相談したい事があって電話しました。》

成瀬は少し驚くものの冷静に気持ちを鎮め、日付けと待ち合わせ場所を決めた。

成瀬:「・・では」

電話を切ると彼女の祖父のアトリエでの光景が再び脳裏に浮かぶ。

成瀬:「(あれから一年か・・。)」
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