その他

□ブルーサルビア
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「俺は土方くんが好きです」
「は?」
「なので告白しようと思います」
「急に何言ってんですか、銀さん」
「キモいネ」
「餓鬼にはまだわかんねぇんだよあいつの良さが!
あの色っぽい声、体から溢れ出すフェロモン、そしてツンデレ…!」
「銀ちゃんには勿体ないアル」
「そうですよ、土方さんにはマダオ何かじゃ駄目です」
「うっせーな!ダメガネに言われたくねぇんだけど!!」
「誰がダメガネだ!こっちこそアンタに言われたくないよ!」
「お前らごちゃごちゃうっせーアル。
銀ちゃんもさっさと行ってこいヨ」


神楽が銀時を蹴り飛ばす。万事屋から地面に叩き(蹴り)出され、普通の人間なら恐らく重傷であろうこの状況で銀時は掠り傷一つなく立ち上がり走り出した。
本人曰く、『土方への愛で燃えているから』らしい。

そんなこんなで真選組屯所にやってきた銀時は、しかし門の前である人物に出くわしてしまったのである。


「あれ、旦那じゃないですか。そんなに焦って、どうしたんですか?」
「げっ、ジミー」
「ジミーって何だよ!?地味か、地味からきてるのか?」
「そんなことよりちょっと通してくんねぇ?
お宅の副長さんに用があんだよ」
「すみません、副長は今取り込み中で」
「じゃあ土方の部屋で待たせて貰うわ」
「勝手に入らないでもらえます?」
「んだよ、何か文句でもあんの?」
「アンタマヨネーズなんか持って、副長口説くつもりでしょう!」


ビシッと確信を付かれた銀時は大袈裟なまでにたじろぐ、がそれもほんの一瞬で、直ぐに勢いを取り戻す。


「何、口説いちゃ駄目なわけ?口説くこともできずうじうじしてるお前に言われたくねぇな」
「べ、別にうじうじしてる訳じゃないです!
仕事に支障が出るんじゃないかと…」
「おー、ザキに万事屋じゃないか、どうしたんだこんな所で」
「あ、局長。おかえりなさい」
「ちょっと副長さんに用があってな」
「トシに?珍しいな。
トシならさっき歌舞伎町に居たぞ、すれ違ったな」
「え!!いつの間に!?」
「ちょ、てめジミー!何紛らわしいことしてくれてんだよ時間食っただろうが!!」
「俺だって知らなかったんですよ!くそ、山崎退、一生の不覚っ!!
あ、ちょ、待って下さいよ旦那っ」


銀時に遅れつつ山崎も歌舞伎町に走る。銀時の邪魔をするためでもあるし、土方に会うためでもある。

息も上がり汗をかいて、土方の後ろ姿を見つけ叫ぶ。


「万事屋と山崎?何で?」


土方が素直な感想を述べていると銀時がガシッと肩を掴み寄る。
山崎が割って入ろうとするのを文字通り一蹴りする。


「これから言うことは嘘でもドッキリでもない真実だから真剣に聞いてくれ…!」
「お、おう」
「あっ、くそマヨネーズ屯所に置いて来ちまった!
…仕方ねぇな」
「マヨネーズ?」
「土方!」
「あ?」
「す──」


ドコォンと壮大な爆発音が鳴る。それは決してバーゲンを知らせる様なものではなくて、銀時の目の前が燃えさかっている。


「あ、すいやせん旦那、何か怪しい野郎が居ると思ってみたらアンタだったんですねィ」
「ちょ、善良な一般市民に何してくれてんの!?」
「どこが善良だ。
つうか総悟てめぇサボってどこ行ってやがった」
「いえ、桂かと思って追ってみたら、ただの長髪のホームレスで」
「お前にちょっと期待した俺が馬鹿だった」
「さ、行きやしょう、土方さん」
「ちょ、総悟っ」


沖田がぐいっと土方を抱き寄せる。真っ赤な顔をして抵抗する土方を離さずに銀時と山崎へ勝利の笑みをたたえた。

が、そのときだった。
土方が沖田を振りほどき刀を抜いた。目の前に突如歩いてきた敵を捕まえるため。


「桂てめっ、堂々と出てきてどういうつもりだ!
おちょくってんのか!?」
「俺はいつでも大真面目だ。
実は土方争奪戦が行われると聞いてな」
「あ?何だそれ。つうか誰に?」
「管理人」
「誰!?」


何となく一連の流れを見ていた一行だが、もうこんな管理人とも二年以上の付き合い。気づいた、これはヅラフラグが立っていると…!


「ちょっと待てヅラ、てめぇはイレギュラーだろ!?」
「そうだぞ!一番のメインCPである俺がこんな扱いなのにそれは許さないからな!!」
「俺的にはそれも納得いかねぇけどな」
「ザキの癖に出しゃばりすぎでィ」


銀時、山崎、沖田が桂を囲む。土方は状況が上手く把握できていないが、
桂の近距離に居る沖田と山崎に叫んだ、今だ(捕まえろ)!と。

次の瞬間、ガチャ、と音がして電柱に繋がれた。土方が。


「え?ちょ、総悟ォォォ!?」
「煩いんでちょっと黙ってて下せェ」


沖田が輪の中に戻ると土方はいよいよ本当に取り残され、最初こそ抗議していたものの、次第に諦め静かになっていく。もちろん、この姿が恥ずかしいのだ。

そんな土方を余所に四人は談義を始める。


「土方受けと言えば銀土!これは誰もが知る事実だろ?
このサイトのアンケートだって常に俺が一位、連載だって俺だ。
王道中の王道である俺が土方を貰う。それが世のため人のためファンのため、土方のためってもんだ」
「それは一般的に、の話しでしょう。このサイトでは山土がトップです、俺が貰うのが当然だと思いますけど?
確かにサイト内アンケートや観覧数は常に銀土がトップなのは認めます。でも!
そんなことを全く気にせず常に自己満足なのがここの管理人です」
「待ちなせェ。ここの主要CPであるのに作品数が異常に少ねぇ俺だが、その人気は旦那にも劣らねぇぜィ。第一、連載だって前サイトではやってたんでィ。サイト内アンケートで一位をとったこともありまさァ。
そんな、ファンが多いのに作品数の少ない俺に花を持たせるのがいいに決まってまさァ。な、管理人?」


いや、そんなこと言われましても…。
確かに沖土は人気ですけど。


「貴様等さっきから黙って聞いていればこのサイトの本質を忘れているぞ」
「「「は?」」」
「忘れたのか、このサイトはマイナーサイトだと言うことを。
銀土は王道中の王道でもってのほか、沖土も土方受けの中では王道だ。山土も作品やサイト数が少ないとは言え、山土オンリーの本がある時点でマイナーとは言えない。
つまり、この中でサイトの方針に基づくと、俺が土方を貰うことになる。」
「ぐっ…確かにこのサイトの性質をよく理解した理論だ」
「そういうことだ、負け犬は黙って見ているがいい。
土方、待たせたな」
「待て、ヅラァ」
「!この声はまさか…!?」


後方に見える影、煙をくゆらせてゆっくりと歩いてくる。
このサイトでは今のところクールを保っている…
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