過去作品
□さよならを言う勇気
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「旦那様、失礼致します」
ドアをノックして、恭しく一礼すると、
マニュアル通りの動作で召使いの十四郎が部屋に入ってきた
「奥様からです」
小さな小包と封筒をトレーに乗せて差し出される
しかし、俺が一向に取ろうとしないので、
事務的に、サイドテーブルに置いた
「それでは、失礼致します」
「十四郎」
そこで漸く俺は口を開く
すると十四郎はゆっくりと振り返り、無表情でこう言った
「はい、旦那様
どうなさいましたか」
その藍色の瞳は光すら灯さない
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