過去作品

□かわいければ性別は問いません
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「ひゃーっ、別嬪さんが多いのう、金時!」
「銀時だっつってんだろ!」
「ほれ、あの子とかわし好みのじゃき」
「あー?」

金髪で色白の美人系。ああ、いかにもコイツの好きそうな女だ。
だが、生憎俺の好みには合わない。女はやっぱかわいさと体だろ!あんな切れ長じゃなくて、くりっと大きい目で小柄で、それで居てボンッキュッボンの。

「全くお前達は今日から高校生だと言うのに、みっともないぞ!」
「何言ってんだよ、高校生だからこそいい女を見つけて輝く青春を過ごすんだろ!なァ、高杉」

黙り込んでいる高杉を辰馬達にいじらせようと思い話を振る。しかし、高杉はゆっくりとこちらを向いてにたりと笑った。相変わらず中二くせぇ野郎だ。

「この学校にすげぇ美人が入学するって話、てめぇら知らねぇのか」
「どんなだよ?」
「黒髪で切れ長な目の、土方十四郎っつう奴だ」
「はっ!?もしかして男?」

なんだよ、美人系な上に男とか論外!
そういや高杉は面さえよけりゃ男女問わずだったな…。胸もねぇ、体もゴツゴツした自分と同じモノがついてる体の何がいいんだ。俺は速攻で興味を失った。しかし、辰馬とヅラは食いつく。

「ああ、あの喧嘩にめっぽう強いと噂の土方か!」
「頭も良いと聞いたがのう、どおいてまたこんなところに」
「なんでも、近藤っつう奴に懐いてて…」

なんだよ、てめぇら全員ホモかよ!
俺はかわいい女の子を探すべくバカ共から少し離れて何となく歩いてみる。

「おい」
「お、あの子けっこーかわいい」
「おい、そこの銀髪」
「うるせぇな俺は白髪じゃなく銀…ってあれ?」

今ちゃんと銀髪っつった?
振り返ると、辺りの騒がしさが嘘のように音が聞こえなくなった。いや、正確には時間が止まった気がした。

「財布落とし…」
「好きです結婚を前提に子作りしましょう!!」
「・・・は?」

ガシッと財布を持った手を両手で握り締める。後ずさるのを食い止め全ての力を手に込め何とか逃がすまいと踏ん張る。
暫くぽかん、としていたそいつが叫んだ。

「はあああああっ!?
お前何言ってんだよ?つうか子作り?ただの変態じゃねぇか!!そもそも俺は男だ!」
「わかってる!俺かわいい系の女の子が好きだし、全然ホモのホの字もないけど、君に一目惚れしました!
大丈夫、お前相手なら絶対たt」
「気色悪ィ放せっ」
「ぐおっ!」

股間に強烈な膝蹴りを食らいうずくまると彼は走って逃げてゆく。何とか激痛をこらえながら叫んだ。

「ヒジカタトウシロウくん!」
「!?お前、何で俺の名前…」
「って〜!あー」

ビンゴ、やっぱり高杉が言ってたのはこいつのことだ。いや寧ろこのお方だ。こんくらい美人ならそりゃ噂にもなるわな。

俺は何とか立ち上がった。流石相手も男なだけあって力加減はしてくれたみたいだな。そんな優しいところもますます惚れる。
開いてしまった距離を縮める。訝しげに見てくるけど、逃げる様子はない。
「俺、坂田銀時。本気でお前のこと好きだから。
これからよろしくね」
「っ…」
「えっ、何その反応すげー可愛いんだけど!!」
「うわっ引っ付くな腐れ天パ!!つうか誰が可愛いって!?」
「そりゃもちろんお前のことだけど」

言った瞬間腹にグーパンチ。痛い。なかなかバイオレンスなお姫さんだな。でもそんなツンデレな所もかわいい!

今度こそ走り去っていく背中に大きく手を振った。

「土方くん、また後でっ!」


かわいければ性別は問いません
(否、君だから好きなんだ!)


どうやって落とそうかと思案する銀時と、もう二度と会いたくないと思っている土方が再会するのは僅か数分後の出来事だった。

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