過去作品
□君にだけ粘着系な俺の１５年
2ﾍﾟｰｼﾞ/6ﾍﾟｰｼﾞ
土方が引っ越して１年目
ただがむしゃらに書いた
ラブレター何て、書き方がわからなくて
恋愛でよく使われるって聞いたから
ポエムを必死に考えた
「お前を見るだけで幸せが舞い降りる…
だぁっ恥ずかしいっ//」
でも、やっぱり好きで
土方が顔を真っ赤にしながら笑って見てくれると思うと
嫌にはならなくて
ただ喜んで欲しくて、
気持ちを伝えたくて、
土方から返事が欲しくて、
毎日毎日、欠かさず書いた
「切手切手」
執拗に切手を舐めた
こらそこ！気持ち悪いとか言わないの!!
切手を貼って無意識に手紙にキスをする
だから気持ち悪いとか言わない!!
「土方読んでくれてっかなー」
土方に届け、俺の唾液
あ、違っ、や、本当違うんだって!!
土方に届け、俺の心
２年目もがむしゃらだった
とにかく普段使わない脳をフル活動させて書いた
家が燃えても気づかねぇくれぇだった
気付きゃ服の襟しか残ってなかったとかスゴくね？俺
あ、これ比喩じゃねぇから
マジで家燃えたからね
いや〜あんときは焦った
あ、今馬鹿だろとか思ったな？
銀さんは馬鹿じゃありませんー
ただ土方が好きなだけですぅー
や、どうりで熱いなとは思ったんだよ
たださ、土方への愛で俺が萌えて…燃えてんだなと
ちょっ、その痛いものを見る目やめて!!
３年目にはこなれてきた
もう既に文学の域に達した
暇すぎてmixiの日記で公開した
なんつったけ？マイミク？
ってやつがカンストした
４年目に興味本意で雑誌に投稿した
そしたら社会問題にまで発展した
いや〜驚きだよね
近くのパン屋に行ったらミルフィーユがあったくらいの驚きだよね
もうテレビの取材とかバンバン来ちゃってさ
結野アナに会えたからね
あ、でももちろん好きなのは土方だけだから！
そしたらポエム集の出版が決まって
俺は前から気になってた社長のヅラを取って
そこに退職届を挟んでからサラリーマンを辞めた
「雨か」
ポエムを考えつつ窓を覗くと雨が降っていた
小学生くらいの二人が傘を差して楽しそうに話してる
そういや昔土方と二人で雨の中帰ったな
ギャーギャー言い合いながら、
でも、ムキになる土方が可愛くて
笑ったら思いっきり殴られて水溜まりにぼちゃん、と
まっ次の日も普通に学校行ったけど
土方への愛を綴ったポエムを
送り続けて１５年
強がりなお前からの返事はまだ来ない
返事はまだ来ない
.