過去作品
□恋の音色
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俺は何で今生きてるんだろう
ふと、そう考えることがある
時々、真選組も捨てて、
何処かへ逃げたくなる
何て言うことを、
俺はコイツ、
敵である筈の河上万斉に話してしまったのだ
「土方殿…」
「…悪ィ、酔ってただけだ
忘れてくれ」
俺と河上は、
所謂恋人関係にある
もちろん、極秘だ
「…1週間後のこの時間」
そう言ってメモを渡され、
6日が経った
つまり、1日前、と言うことだ
あの日、河上にメモを渡された
1週間後──…つまり、明日に日付が変わってすぐに、
つんぽとして彼奴が生でラジオに出る
それを聞いて欲しい、
とのことだった
「…そろそろか」
ラジオを付ける
日付が変わって、
数秒後
「本日のゲスト、
音楽プロデューサーのつんぽさんでーす!!」
どうやら歌を歌うらしい
つんぽ自らが歌のうのは珍しいらしい
「それでは、よろしくお願い致します」
書類に目を通しながら聞いていると、
静かにギターが鳴り出した
「────…」
音楽のことなんて良くわからない
ついでに言うと、
周囲の評価も知らない
でも、その歌は響いた
優しい暖かい、声だった
ずっと聞いていたい様な、
色っぽい声だった
そこに無機質な着信音が鳴る
《もしもし、土方殿?
聞いたでござるか?歌》
「…ああ」
《どうだった?》
「すげぇ、良かったよ」
柄じゃないがでも誉める
《土方殿》
「あ?」
《誕生日、おめでとう》
「…」
《拙者の為に生きてはくれぬか?》
「…ばか//」
恋の音色
それは俺にだけ響く、
幸せの音色だった
fin