過去作品
□Good-bye,someday
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「山崎退、
ただいま戻りました」
“何て退屈な仕事”
最初はそう思ってた
「入れ」
「失礼します」
信頼を手に入れて、
あとはただ目立たないように暮らすだけ
「結果から申し上げます
あの女将は黒です」
それがいつからだっただろう
いつの間にかすっかり惚れ込んでいた
「証拠はこちらです」
この人の剣に
この人の魂に
この人の瞳に
「報告は以上です」
そして何より、
「そうか
良くやった、山崎」
この人自身に
惚れ込んでいた
───────────…
「おい山崎っ!!」
「は、はい!!」
わざと仕事をサボって
雑用もこなして
「!副長、その腕…」
「あ?」
「怪我、してますよね?」
「何言って…んっ」
「ほら、やっぱり痛いんじゃないですか」
「こんくらい…」
「駄目ですよ、無理しちゃ
いい薬あるんで、
腕、見せていただけます?」
やっと、
アンタが頼ってくれる様になったんだ
俺が、この人の唯一、なんだ
「はい、終わりましたよ」
「…お前、案外治療うめぇな
いつもそんなの(救急セット)持ってんのか?」
「ええ、まあ
密偵やってるといつ怪我するかわかんないので」
「……」
「副長…?」
「あ、あんまり、
無理すんなよ//」
「!は、はい!!」
こんなに幸せで
俺の幸せはこの世でただひとつ、
貴方です
「何笑ってんだよっ!!」
「いでっ!!
すみません…へへ」
「ったく…」
こんなのが続けばいい、
これが“俺の日常”なんだって
俺はいつの間にか盲目になっていた
───────────…
「……」
そんな、ある日だった
突然…
いや、きっと本当はわかってた
「…御意」
─────────…
「副長、鬼兵隊の情報が──…」
嗚呼、終焉の時
俺は今、
“いつもの”山崎退で
いられてるだろうか
「その情報は確かか」
「はい、
間違いありません」
アンタは俺を信頼してくれてる
嗚呼ねぇ、どうして
鋭いアンタが気付かないんですか
「山崎、お前も来い」
「はい」
俺を信頼なんかしなくていい
だから、
この言葉だけは信じて下さい
「副長、
俺は何処までも、
アンタについて行きます」
Good-bye,someday
(wanted to meet again.)
愛してます、何て
そんなの今さら
.