過去作品

□いつもの通り
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「死ねー土方ぁー」


いつもの通りスレスレにバズーカを撃つ

そしたらいつもの通り土方さんが…


「ったく…おら、総悟、巡回行くぞ」
「え?」


いつもの通り…


「ッチ…面倒くせぇ」
「面倒くせぇじゃねぇよ。ほら、早くしろ」


いつもの通り…


「あ、そうだ。土方さん、マヨネーズ捨てやした、すんません」
「はぁ…山崎っ!!マヨ買っておけ」


キレない!!?



いつもの通り



変だ…
全然キレない


「土方コノヤロー団子食いてェ」
「あ?……しゃぁねぇな、金やるから、買ってこい」
「面倒い」
「はぁっ!?ったく、待ってろよ」


もしかして具合が悪いのかと思ったけど、
俺以外はいつも通りだ


「…つまんねぇ…」


巡回サボって昼寝
いつもなら直ぐ探しに来んのに
今日は全然来ない


「天気悪くなってきた…ついてねぇ」


取り敢えず土方さんを軽く探しながら
屯所に帰ることにした


────────…
「この辺にいるはず…」


巡回は歌舞伎町担当
そろそろ屯所へ帰る頃だ、もう歌舞伎町を出るとこ…


「あ、旦那」


旦那を見つけたから土方を見なかったか聞こうとしたら、
いた。

旦那の隣に


「何でィ…」


いつも通り言い合ってるだけじゃねぇか

まわりにはチャイナとメガネもいる

いつも通り──…


「ちょっ二人共やめましょうよ!!…あ、沖田さん」
「何の用アルかサド野郎が。どっか行けよ」


チャイナもメガネもいつも通り話しかけてくる

──そんな気分じゃねぇ


「あ、総一郎くん」
「総悟……ぅわっ総っ!?」

土方さんの腕を掴んでそのまま走った


─────────…
「ぉい、総悟?」


土方さんが心配そうに呼ぶ

違う、そんなのいつものアンタじゃない


「何なんでィ、アンタは」
「は?」
「何で俺だけ避けるんですかィ?土方さん」


口調に怒りや焦りは微塵も出さない
この人は目でわかるみてぇだけど


「何言ってんだよ、避けてねぇだろ」
「嘘つかねぇで下せェ」
「んだよ…」


土方さんに近付きおもいっきり腕を掴んでやる

痛さに土方さんが顔を歪める


「!ってぇ…何すんだよ」
「そんなの違ぇ」
「は?」
「そんなのアンタじゃねぇですぜェ?」


少しずつ力を加えていく


「いつものアンタなら直ぐキレて、巡回サボりゃぁ直ぐ探しに来て」
「何っ」
「ギャーギャー説教して、いちいち律儀に相手して

何で俺だけ…」


フ、と手の力を弱くすると土方さんがボリボリと頭を掻きながら言った


「…やっぱ柄じゃねぇな」
「何が」
「今日、お前誕生日だろ」
「え…」


今日は…何日だ…?


「何だよ、忘れてんのか…?」
「いや…」
「近藤さんが、
総悟は俺が優しくしてやりゃぁ喜ぶっつってさ」
「それで、こうなったんですかィ?」
「…ぁあ」


「お前に喜んで欲しくて」と顔を真っ赤にしてそっぽを向きながら言う土方さんが可愛くて


「…はぁ…アンタ本当馬鹿ですねィ」
「はぁっ!?」
「俺ァ

アンタがいつもの通り
俺の傍にいんのが一番嬉しんでさァ」


だからプレゼントは
アンタが良い


そう言うと耳まで真っ赤にした土方さんが
「馬鹿だろ」と言って軽く殴ってきた


「ほら、さっさと行くぞ。お前今朝の障子直せよ」
「面倒くせぇ…土方さん、頼みやしたぜィ」
「はぁ!?っざけんな!!」


そしていつもの通り
二人で屯所に帰る


         おわり

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