銀×

□君地獄
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「は…?」


咥えていた煙草がぽろり、と力なく地面に落ちる

泣きたいのを必死に堪えている目の前の餓鬼二人が冗談を言っているとはとても思えない


つまり、今俺の脳が解釈した言葉は、現実…


「万事屋が死んだ…?」


何とか呟けば、弱々しく眼鏡が頷く


死んだ?訳がわからない
あいつが?俺の前から居なくなる?

たった2、3日俺が出張するだけでもギャーギャー騒いで、
帰ってきたら屯所まで乗り込んできて所構わず抱きついたりキスしたりちょっと油断したら押し倒そうとしてくるあいつが?

そんなわけ、ないだろ
あいつが俺を置いていく訳がない────…


「銀ちゃん…」


餓鬼共の声で我に返る
待て、俺、しっかりしろ

あいつの大事なもの、壊すわけにいかない──…


「何しけた面してんだよ
あいつがんな簡単に死ぬわけねぇだろ」
「土方さん…」
「それに、てめぇら残して居なくなったりしねぇよ
そんな無責任な野郎だったらとっくに俺が叩き斬ってらァ」
「でも、」
「殺しても死なねぇような奴だ、
きっと何事もなかったようにケロッとしてあの間抜け面引っさげて帰ってくるさ」


大丈夫だ、きっと帰ってくる

俺は自分自身にそう言い聞かせた


───…おい、どこ行ったんだよ
お前が留守にしてる間、俺がお前の大事なもん守ってやるよ

だから、早く帰ってこいよ


ちょっとくらい、待ってやってもいいから──…


「山崎」
「はい」
「万事屋の死因を調べてくれ」
「何か関係が?」
「ああ、今の──…」
「副長?」
「いや、個人的な頼みだ
断ってもいいぞ」
「…いえ、お調べします」


なあ、だからさ


お前の居ない虚しい世界に、俺を置いていくな


「…銀時」


お前が居るなら、地獄のようなこの世界でもいいから


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