山×

□最強最愛ハニー
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「土方ぁ、事件まったく起きねぇぞ、あん?」
「平和でいいじゃないか
僕達の願いでしょ?」
「暴れたりねぇんだよっ!」
「アハハ」


俺が殴っても土方は顔色一つ変えずに、
仏のように笑う


「チッ…」
「そんなに暇なら、僕が相手しようか?」
「は、」
「腕に覚えがあるんだよ、
近藤さんに教えてもらったから」
「…いや、いい」


正直、コイツに勝てる気がしない

今はこうだとはいえ、
もとは真選組鬼の副長と恐れられていたんだ


「おい、このまま車左折し」
「どうして?
見回りは終わったし、屯所は…」
「だーっ!うるせぇなっ!!
お前このあと非番だろっ!?」
「うん、そうだけど」
「俺も非番だ」
「そっか、

じゃあ余計、早く戻って休もう」


何だこいつ、わざとか!?

あ、コイツ左折しなかった!!


「おいっ!」
「何だい?」
「今日何日だ」
「5月5日かな」
「つまり、何の日だっ!!」
「こどもの日だね

やあ、鯉のぼりだ」


コイツわざとだ、ぜってぇわざとだ!!


「他には何の日だ!!あん?」
「おもちゃの日、手話の日、
ナポレオンの命日で、あと子安の誕生日…」
「あああ、もういい、もういいっ!!
つうか子安って誰だっ、あん?」
「高杉の中の人」
「そういうこと言うなああ!!
世界観っ!!」
「高杉も今はもうすっかり穏健派だし、
本当に穏やかな世の中だよね」
「そうだなってんなこたぁどうでもいんだよっ!」


つうか高杉が穏健派ってどんなだよ!?

何でもありだなこの世界!


「っ、はぁ…ったく、
今日お前の誕生日だろうが」
「ああ、うん、そうだね」
「だから、店予約してあるから…」
「どうして?」
「お前の誕生日祝うためだろっ!!」


うわ、何だこれ、恥ずかしっ!!


「祝ってくれるの?
嬉しいなあ」
「…だから早く、」
「うん、屯所に帰ろう」
「はあ!?」
「着替えて行こうよ、
隊服じゃ目立つもん」
「…」
「もう、そう言うところは鈍いよね」
「うるせぇ!」
「アハハ」


気がつけばもう屯所に着いた

パトカーを駐車させながら土方が言う


「それに、私服の方が
恋人っぽいだろ?」
「ぶっ!!
な、なに…」
「アハハ」


車を降りてさっさと帰って行く土方の背中が見えなくなると、

俺は車から降りられずに座席の上で縮こまった


「ったく土方の奴〜〜…」


いつになってもどんなになっても、

俺はあの人に適わない


最強最愛ハニー
(俺は最弱溺愛ダーリンで居たい)

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